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和ビーガンシェフとして各地で活躍する
本道佳子様

本道佳子様のご紹介

ニューヨークやロサンゼルスなど海外のキッチンで料理を経験し、2017年の「ベジタリアンチャンス(ヴィーガン世界大会)」で準優勝を獲得。現在は、和ビーガンシェフとして各地で活動する。

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本道様

本道様にとって「食」とは

「自分の未来を作る」

ツーショット写真

右:本道佳子様
左:井上祐子様(インタビュアー)
(以下敬称略)

取材日 2022年11月24日

井上:世界で活躍されるビーガンシェフの本道さん。エネルギッシュに各地に出向いて、日々お忙しく過ごされていると思います。本道さんの多彩な魅力に心奪われつつお話をお伺いしたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いします。まずは、本道さんにとって『食』とはどういったものですか?

本道:「自分の未来をつくる」っていうことだと思います。例えば家庭の奥さんが、おうちのお料理をほとんど作っているとしたら、その奥さんの手の上にあるんですよ、家族の未来は。どうにでもなるんです。だから、時間がなくて忙しい現代だけど、ただおむすび握って「はい!」でもいいので。自分の家族の未来はこの手の内だと思うと「ウッシッシッシッ」って楽しくなりますよ。

本道様井上様
井上様

井上:現在のお仕事に至るまでの経歴を教えていただけますか?

本道:高校卒業後に、日本全国にペンションを作っていたデベロッパーの会社に入社しました。当時は“洋風な民宿”みたいなペンションが各地に建てられていて、その会社で私は、お料理の部門に配属され、このことがお料理の世界との出会いです。その後、“世界の料理が食べたい”“料理を自分なりに勉強したい”という思いから、25歳でニューヨークに渡りました。そこで「お金はいらないのでちょっと勉強させてください」という感じでいろんなキッチンに入りました。それからロサンゼルスへ。アメリカには10年いました。その後、日本に帰ってきて湯島食堂の運営、現在は各地に呼ばれて料理をする仕事へとつながります。

井上:どのような経緯でアメリカに行こうと思われたのでしょうか?

本道:料理を勉強したいと思ったときに、調理師学校には、あえて行かず、料理のいろいろな側面のプロから、習う!事にしました。時間があると、築地の八百屋さんに行って、里芋を剥くのを習ったり・・・学校に行かないで押しかけ勉強をしよう!考えました。それで、フレンチのシェフに「シェフになりたいんですけど、どうしたらいいですか」と相談に行ったら「シェフになるなら主婦になれ」と言われたんです。それで「なんだ、この日本は!」と思って。その時代まだそんな男尊女卑みたいな、女性がキッチンにあんまり入れてもらえない時代だったので。それでアメリカに行きました。

井上:料理人になるためにご自身で未来を開拓されたのですね。

井上:どのようなきっかけで、料理人を極め、ビーガンシェフになられたのですか?

本道:アメリカから帰ってきたときに、日本ではスーパーマーケットに並ぶ野菜がきれいに並べられて袋にまで入っていて、“まるでお洋服を売っているみたいだ”と思いました。それと同時に“野菜に力強さがない”と感じたんです。そのころ、父親の実家の長野では、いろんな方が就農して有機野菜を作りはじめた時期だったんですね。その人たちの作る野菜を見て見たらすごく力強いんです。“こんなにいい野菜があるのになんでこれを使わないんだろう”と思ったんです。そうしたら流通の経路がなかったんですね。野菜を作る一次産業の人を助けるためには、その野菜を使って形にできるシェフがたくさんいるべきだと思いました。なので、いろんなシェフに「もっとビーガン、ベジタリアンのお店を作るべきです、なんとかやってくださいよ」って言ったんですね。そうしたら「野菜だけでお店をやるっていうんだったら君がやって、ちゃんと売れるお店を作ってくれよ」って言われたんですよ。それからちょっと経ったあとに“湯島食堂”を開きました。

井上:惜しまれつつも閉店された湯島食堂ですが、どのような料理を出していたのですか?

本道:提携の農家さんから勝手に送られてくる野菜を全部受け取って、それを使って料理を作っていました。ある時には、バターナッツカボチャが4畳半全部いっぱいになっちゃって(笑)。それで秋から春までずっとバターナッツカボチャスープを、作り続けていました。捨てられないんです。使い切りたくて!野菜の命を。。。


井上:部屋に詰め込まれたバターナッツカボチャは「ぼくたち早くおいしくなりたい!」っていうエネルギーを溜めながら心待ちして、本道さんの手に掛って、スープに変身されたのでしょうね~。

本道:そうですね。農家さんが適当に野菜を請求書と一緒に送ってくれてというやり方でした。それは、農家さんがちゃんと生活できるくらいのお金で消費者が買ってあげるべきだとの想いからで、“言い値で入れてもらって絶対に値切らない”それを目標にやっていましたね。

井上:ただ、野菜が送られてきて何が入っているかわからない、玉手箱・宝箱を開ける状態で野菜が届くわけじゃないですか?やっぱり「これ、どうしよう」っていうものが入っているということはなかったのですか?

本道:そういうのはなかったですね。逆に「これ、どうしよう」というものを充ててくれたほうが私はうれしいので。変わった野菜を使いたかったのでよかったです。メニューがなくてもその日に来たものでメニューを書けるお店じゃないとそういうやり方は多分できないと思います。


井上:湯島食堂を運営されていた時にも現在のように各地に呼ばれて料理を作っていたのですか?

本道:そうですね。あちこち呼ばれるとそこへ行って料理をし、帰ってくると食堂をやってといった感じでした。

本道様

井上:ビーガンの世界大会に出たのはこの頃ですか?

本道:それは、湯島食堂が終わってしばらく経ってからですね。イタリアのミラノで『ベジタリアンチャンス』という世界大会に出場しました。その大会には、イタリア料理の奥田シェフが日本人初で、出場されていました。その後、どうして、ビーガン世界大会に、日本人ビーガンシェフが出ないんだろう!と、言ったら、「そこは本道さんが、出るのがいいですよ」と、なりまして。。。‘’日本人の作るビーガン料理は世界でどう評価されるか?‘’日の丸を胸に出場しました。私は、精進料理から繋がる日本の菜食(和ビーガン)は、きっと世界で、愛されるはず!と、思っていました。

井上:それはどうしてですか?

本道:欧米人のビーガン、ベジタリアンをつくるシェフは、究極の目標としているところの一つに、精進料理があると思いました。次の段階では、ベジタリアンチャンスアジア、(JAPAN)を、是非、アジアで、開催し、菜食がベースにあるアジアの、ビーガン、ベジタリアンをさらにブラッシュアップして世界へ出し、食の融合、研究、新しい世界をみなさんと想像したいと思いました。みんな仲良く、食卓を通じて、「他を知る」‼️

本道様

井上:それこそ本当に、『和ビーガン』ですね。

本道:はい。やっぱり日本は、こんなに水が豊富で素晴らしい国なので、多くの種類の野菜がたくさん穫れる国なんです。私の昔からの勝手な希望は、地球が一つの、“みんな地球人”というような時代になったとしたら、日本のこの緯度のエリアは世界の食料庫にするべきだと思っているんです。世界の野菜を十分に食べられない人のために豊富な水を使って野菜を作るというようになるといいですね。


井上:そうですね。いろいろとチャレンジされているなかで、“ロングテーブル”というものもされているとのことですが、それについて教えていただけますか?

本道:「みんなで同じ釜の飯を食べたらみんな仲良し」なんて日本ではあるじゃないですか。だからそんなような感じで、みんなで同じ食卓を食べることができたら、という想いから生まれたイベントです。私の希望は、世界中の人と同じ食卓を囲みたいんですね。ですからそういう長いテーブルというか、みんなでご飯を食べられるというイベントをあちこちでできたらいいなぁと思っています。お友だちになれば、そのお友だちに対して争いごとや戦争は起きなくて、逆に「あの人大丈夫かしら」という気持ちになりますよね。なので、一緒にみんなでご飯をただ楽しく食べることが、平和に繫がるアクションの一歩じゃないかと考えています。ロングテーブルでいつか「地球が一周できました!」「わああ!」「延べ何十、何百万人です!」って、その全員がノーベル平和賞を獲るみたいな事ができたらいいですよね。昨日も福島で米屋さんという旅館の30周年で、9メートルのロングテーブルをやりました。2日やったので18メートルですね。

井上:ここまで様々なお話をお聞かせいただいたのですが、今後のビジョンを教えていただけますか?

本道:世界の先進国のように、日本のレストランにも“ベジタリアン”っていうメニューを入れてほしいんです。中華のお店でも“野菜”っていうところがあるように、焼き鳥屋さんでも、「ただ野菜だけ焼いてください」のようにできることが希望です。難しいことじゃないんですけど、だいたい言われるのは「うちね、忙しいから。そんなのやらなくてもお客来るからいいじゃない、やんない」と言われることが多いんですよね。肉の料理を肉なしにするんじゃなくて、もともと肉がなくてもおいしく食べられるものを、野菜たちを、是非、ご提供、つくっていただけたら、うれしいですね~。

井上:未来を描くたくさんの願いが着実に実現するのでしょうね。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

本道様
ツーショット写真

 

井上祐子様には、各業界の方々の『食』やその人の人物像にフォーカスするインタビュー企画のMCとしてご協力いただきます。今後もお楽しみに!

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