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アンダーズ 東京のスーシェフ
植野寛之様

植野寛之様のご紹介

セルリアンタワー東急ホテルからグランド ハイアット 東京に移り、マンダリン オリエンタル 東京、シャングリ・ラ ホテル 東京を経て、現在はアンダーズ 東京のザ タヴァン グリル&ラウンジでスーシェフを務める。

アンダーズ 東京HP
植野様

植野様にとって「食」とは

「生きる根源」

ツーショット写真

左:植野寛之様
右:井上祐子様(インタビュアー)
(以下敬称略)

取材日 2023年1月25日

井上:今日はお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いします。植野シェフにとって『食』とはどんなことかお伺いできますか。

植野:『食』とは、人が生きていくうえで欠かせない衣食住に含まれるひとつの要素で、言わば“生きる根源”です。その『食』を仕事にする料理人は、人を笑顔にさせる期待以上の美味しいお料理を提供することはもちろんのこと、食の安全面についても十分な知識を身につけ、配慮し、安心してお食事を楽しんでいただくことが使命であると考えています。


井上:生きる根源というのは、ご自身の生きるための根源でもあり、お客さまの生きるための根源という、そういう部分で『食』と向き合っているということでしょうか?

植野:『食』に携わるということは、「生命」にプラスにもマイナスにも影響を及ぼす可能性があると言えます。美味しいお食事で楽しい時間を過ごし、心身ともに元気になることもあれば、徹底した管理がなされず、命に関わる危険な場合もあります。アレルギーや食中毒はその一例で、『食』の安全性が常に基盤にあり、そのうえでエキサイティングな食体験が存在すると考えます。

植野様
井上様

井上:植野シェフが料理に興味を持ったきっかけを教えていただけますか?

植野:私の両親は共働きで、幼いころは母方の祖母に家で夕食を囲むことが日常でした。毎日さまざまな献立で家族が喜ぶ食事を振る舞う祖母を純粋にすごいなと感じ、またそれによって家族の笑顔や絆が深まっていくことを体感し、その経験が料理人になるきっかけとなりました。


井上:植野シェフが食に携わるスタートから今までの経歴を教えていただけますか?

植野:華調理師専門学校を卒業後、新入社員として渋谷にあるセルリアンタワー東急ホテルに入社しました。3年間従事した後、グランド ハイアット 東京に入社。その後マンダリン オリエンタル 東京、シャングリ・ラ ホテル 東京と、外資系ホテルのレストランで経験を積みました。そして更なるスキルアップを目指し、2014年、日本初のラグジュアリー ライフスタイルホテルであるアンダーズ 東京にオープニングスタッフとして入社し、現在に至ります。

井上:ホテルでのお仕事をずっと続けていらっしゃいますが、ホテルにしようと思われたきっかけは何かあるのでしょうか?

植野:朝食の提供に携われることに魅力を感じたからです。1日のはじまりを有意義に過ごすことで、1日の生活がより豊かで充実したものになると考えています。『食』に携わる料理人という観点から、クオリティ高くそのお手伝いできるのは、ホテルレストランならではであると思います。上質なサービスと共に、栄養バランスの良い、美味しく、バラエティ豊富で彩り鮮やかな五感を刺激するラグジュアリーな朝食体験を通じて、皆さんを笑顔にし、また心地よい一日を過ごしていただけたらと考えます。

井上:ホテルにおいて新型コロナウイルスの流行により感染症対策の変化はありましたか?

植野:新型コロナウイルスの流行以前より、衛生対策については日々徹底した対応を行っておりました。コロナ渦においては保健所との連携、ならびに親会社の森ビル社内規定に従い、新型コロナウイルスに感染、もしくは身内に感染者が発生した場合には、対象者を必ず休みとしています。キッチン内での対策としては、40分ごとの手洗い、衛生手袋を着用しての調理、また食材ごとにまな板を分けるなどして常にキッチン内を清潔な状態に保っています。ホテル全体での取り組みとしては、マスク着用やフロアごとに設置しているアルコール消毒、入館時の検温など、全従業員が高い意識を持って感染衛生対策に取り組んでいます。

植野様

井上:食品の衛生対策に関してはいかがでしょうか?

植野:2019年からHACCP認証を取得し、HACCPシステムの運用精度を高めることを会社の方針として対応してます。また月一回、HACCPミーティングを行うなど、社員間で衛生対策について考える機会を設け、互いに意識を高めています。


井上:HACCPで苦労されている点はありますか?

植野:既に10年くらいHACCPシステムの運用に携わっているので、運用管理は熟知しておりますが、大変だと感じるのは温度管理です。調理過程での温度管理はもちろんのこと、納品時の温度管理には特に気を付けています。納品物の温度測定を実施する際には、管理責任者クラスがローテーションにて検品に携わることを徹底し、確認作業を行います。また、納品トラックの庫内温度の抜き打ちチェックを行うなど、ホテルスタッフのみならずお取引先の方々にも意識を高めてもらうよう日々働きかけております。

井上様

井上:食の安全といったところではアレルギー対応もありますが、どのようになさっていますか?

植野:アレルギー対応には徹底した重複確認を行っています。サービススタッフがお客様よりお伺いしたアレルギー情報は即時にキッチンチームへ伝達され、コンタミネーションの可能性も視野に入れた徹底した確認作業を行っています。お客様からのヒアリングの際、キッチンへの共有時、お料理出しのタイミング、そしてお食事提供時、人から人へと情報が共有される際には、都度確認を行います。アレルギー情報が不明確な場合には、対応が出来かねる旨をご説明し、ゲストの安全を第一に考えお断りをしています。

井上:事故を起こさないように、チームとして何重にも確認されているということがよくわかりました。そのチームに関してお伺いしたいのですが、教育や育成に関してどのようにされていますか?

植野:衛生に関する意識を念頭に置いて日々の仕事に従事する、という高い意識を持ちながら仕事をしてほしいという思いから、キッチンスタッフを対象とした月一回の衛生管理に関するテストを実施しています。HACCPのガイドブックに基いた内容のテストで、自ら作成を行い、間違えた箇所は個々でのフィードバックの時間を設けるなど、フォローアップにも力をいれています。また当たり前のことですが、挨拶、返事、コミュニケーションもとても重要だと考えており、社会人としての基本的なマナーを正しく身につけてもらうことにも注力した教育を日々行っております。トレーニングを行う際には、受ける側の気持ちや状況を慎重に見極めベストなタイミングを探り、適切なタイミングでトレーニングを行えるよう心掛けています。



井上:そのように考えるようになった背景として、植野シェフの経験があると思うのですが

植野:目標となる先輩に巡り合えたことです。目標を立てて仕事をすることの大切さを学び、料理人という枠に囚われず、働くことに対してのモチベーションをもたらしてくれました。今でもとても感謝しています。私が先輩から学んだことは、後輩にも受け継いでいきたいと考えています。

井上:植野シェフご自身の今後の目標についてお聞かせいただけますか?

植野:料理を食した人が笑顔になる美味しく心のこもった食事を提供する、という料理の道に進むきっかけとなった気持ちを忘れず、料理を通して人と向き合っていくことを大切にしたいと思っています。自分の料理を囲んで話しが弾み、幸福感が満ちていくお食事の時間を生み出すこと、あらゆる人の人生の一場面に携わり、思い出の1ページとなって記憶に刻まれる時間を過ごしていただけるような食事を提供する料理人でありたいと思っています。




井上:本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

ツーショット写真
 

 

井上祐子様には、各業界の方々の『食』やその人の人物像にフォーカスするインタビュー企画のMCとしてご協力いただきます。今後もお楽しみに!

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