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ジャーナリスト
島沢優子様

島沢優子様のご紹介


ジャーナリスト

筑波大学卒業後、英国留学等を経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年フリーに。雑誌AERA「現代の肖像」をはじめ多くのメディアに寄稿。著書多数。
東洋経済オンラインアワード2020」MVP受賞。2020年より日本バスケットボール協会インテグリティ委員。2021年より沖縄県部活動改革委員。



公式サイト
https://yukoshimazawa.com/


島沢優子様

島沢様にとって「食」とは

「その人自身の成長に繋げる力」

ツーショット写真(井上氏と島沢氏)

左:島沢優子様
右:井上祐子様(インタビュアー)
(以下敬称略)

取材日 2024年11月6日
島沢優子様

井上:食という言葉で思い浮かぶこと、食を一言で言い表すならどんなことですか。

島沢:私はスポーツジャーナリストなので、食もアスリートと結び付けて考えています。私が記者になってから、日本でこの分野は飛躍的に伸びたと思いますが、欧米とはまだまだ差があるということは、虎石真弥さんを始め、スポーツ栄養士の方々から聞いています。
(※王者の食ノート ~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦~(小学館) 島沢優子著

アスリートにとって食のトレーニング「食トレ」はなかなかすぐに結果がでるものではありませんが、毎日の食を工夫して、その人自身の成長に繋げる力だと思います。食トレ自体がアスリートの矜持となり、自身を支えるものではないかな、と思っています。

井上:今の仕事に就かれる前は何をされていたのですか?

島沢:大学卒業後、オーストラリアに4、5ヶ月英語留学していました。その後、帰国して自己投資のつもりでバイトしたり、広告代理店で働いてお金をためて、25歳でイギリスに2年留学しました。

井上:留学先をイギリスに決めた理由はありますか。

島沢:オーストラリアの英語留学では日本人が多くて、それと温暖な気候で皆さんのんびりしていて、ここにいたらダメになるなと思って(笑) そこからイギリスに行きました。

日本人がいないところにと行かないと英語力がつかないかな、と。ロンドンの学校にジャーナリズムコースというのがあったので、そこがいいかなと思って行きました。

井上:ロンドンの生活はどうでしたか?食事をお一人でされるとか、 スーパーマーケットに行って買い物とかは。

島沢:オーストラリア人の友達とシェアルームに住んでいたので、みんなでご飯作って食べていましたが、 オーストラリアとイングランドの食は近くてフィッシュアンドチップスの世界でしたね、食の豊かさはあまり無かったです(笑)。インディア、チャイニーズ、イタリアン、あとスパニッシュという外からの食事が多かったです。

井上:留学後、なぜ記者の道に進まれたのですか?

島沢:子どもの時から作文とか割と得意で、大分県や九州地方のコンクールで、賞をもらったりしていました。父もすごく本を読むのが好きだったので、小さい頃、おもちゃは買ってくれないけど、本だと好きなものを買ってくれるという家だったので。

それで読書家になって本を読んで、本を読むと文章がだんだんとうまくなるので、大学に入って、記者になりたいって思っていましたが、時代的に雇用機会均等法が出る少し前だったので、女子は出版社への就職が難しく、自分ができることを考えて、広告代理店に入ってコピーライターになりました。

コピーライターになれば、雑誌の取材もあって、書く仕事ができたのですが、好きな仕事ではないなと感じることがあって。当時、「Number」っていう雑誌ができたばかりで、そこの編集長に会いに行ったら、「女性は難しいけど、英語が喋れたらいいかも」と言われて、そんな理由で留学をして、帰ってきたら、ちょうど日刊スポーツ新聞社の求人があって、スポーツ記者になれました。



 対談
島沢優子様

井上:スポーツ全般を取材されたのですか。

島沢:私はスポーツジャーナリストですが、Jリーグの試合はいつも行って取材する、というライターではなくて、ちょっと俯瞰で見て、 スポーツの課題と社会課題を結びつけるみたいな役目を果たしたいなというふうに思っています。

フリーになってから子どもを出産して、子育てを始めましたが、プロスポーツは夜のゲームが多く、それではスポーツは追えない、 キャッチアップできない。であれば、子育てもしているし、 教育分野であれば身近なテーマだし、自分にもできるかもしれない。しかも、そういう分野を自分で経験して、「てにをは」が書けて、記者の経験があることは強みになるだろうと思いました。

実は、フリーの最初の10年間くらいは、ほとんどスポーツは書かずに、教育とか児童虐待だったり、保育園の問題、待機児童だったりとか、家庭の問題などの時事問題をAERAや、いろいろな雑誌に書いてきました。なので、そういうところで私の名前を見て、私のことをスポーツジャーナリストだと思っていない人も多いと思います。

井上:多岐に亘って書かれていますね。いろいろと執筆をされた中で、先生の代表作を教えてもらっていいですか。

島沢:一番の代表作は、 「左手一本のシュート」というノンフィクションで、中川大志くんが主演でドラマ化もされました。主人公の田中正幸くんが、脳出血で倒れて、そこからリハビリをして、半身麻痺になってしまったけれども、バスケのインターハイ予選に3分50何秒か出場して、シュートを決めたというのがニュースになって。

朝日新聞の多分、山梨版だと思いますが、小さい記事でしたが、それを読んだ瞬間に、この子をもっと掘り下げて本にしたいと思いました。

私は大学までバスケットをしていたので、その難しさも分かるし、すごく共感できて、調べたら、山梨県立日川高校の選手で、その監督が、たまたま私の大学の後輩だったこともあり、取材をさせて欲しいという連絡を取りました。それで通って、周辺を回って取材をして、田中くんのシュートまでの道のりをノンフィクションにしました。

 島沢優子様
飯野登起子様作品5

井上:ありがとうございます。是非、今度読んでみます。話は変わりますが、普段の家庭の食事はどうされていますか?

 島沢:夫が偏食で野菜もそんなに食べない人でしたが、子どもたちが食べて、いつの間にか家族全員食べている、という状況を作りました。子どもたちが偏食にならないよう食生活には気をつけていました。親からの影響もあります。母方の父は、硫黄島の生存者です。

太平洋戦争の時に硫黄島に行って、最後は1,000人くらいしか残らなかったのですが、そのうちの一人です。祖父は海沿いで育ち、お魚をきれいに食べるようにしつけられたので、祖父を通して私の子育てにも伝わっています。だから、私の子どもたちは小学校1年生くらいで、さんまをきれいに食べていましたね。

井上:食が子どもたちの教育にもつながっているということですね。日本でも虐待や、教育の問題など騒がれていますが、記事を書き始めた当時から今って、ここの部分が変わってきたなという印象深いものはありますか。

島沢:私がフリーになった頃に、孤独な食事、孤(個)食が問題になり始めていて、今はその深掘りが進んできたと思います。孤独を感じてストレスになったり、精神的にまいってしまうと食がおろそかになってしまうことってありますよね。

島沢:すごく印象深いのが、私は何冊か本の構成をさせていただく機会があったのですが、脳科学者の成田奈緒子先生が、三浦友和と南果歩が出てくる葛城事件という映画を見てと言われたことがありました。特に食がひどいから、食と心はやっぱり繋がっているから、と。

お父さんは、昔からいる雷おやじの横柄な人で、お母さんは全部従っているみたいな昔の夫婦で、その子ども達みんなが殺人事件を犯していくという話です。その映画を見たら、朝食からピザを食べていて。冷凍ピザなのか、宅配ピザの残りなのか分からないですけど、まともな食がテーブルに上がった試しがなくて。一汁一菜でも、食べる人のことを考えた食がでてきませんでした。

この映画に限らず、今の食事はそういった食の本質が失われつつあるのかもしれません。
それと、寝る時間が遅い子が多い。アスリートを育てたい親御さんがいて、スクールに通わせていますが夜が遅い。日本でサッカーをやっている子は、背の低い子が多いですよね。

中盤は小さくてもなんとかなるので、中盤しか育たない印象もありました。ただ最近は、良く身体のできた選手たちも育っている。食の本質について、改めて見直されて取り入れてきたのかなって思います。

それを親だったり、コーチだったりがしっかり取り入れて、子どもに還元しているところには、ちゃんとした子が育っているのかなっていう気がします。

 

井上:本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 島沢優子様
ツーショット写真
 【島沢優子先生 著書のご紹介】
  
左手一本のシュート

「左手一本のシュート」(小学館)

  
  王者の食ノート

「王者の食ノート」(小学館)

 

  
 
オシムの遺産

「オシムの遺産」(竹書房)

 

井上祐子様には、各業界の方々の『食』やその人の人物像にフォーカスするインタビュー企画のMCとしてご協力いただきます。今後もお楽しみに!

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