教えて衛生管理 ~異物混入防止のために 「モノ」の管理について~

教えて衛生管理では、実際に現場で指導した内容や会話のやり取りから、どのような管理が適切なのかを採り上げたいと思います。それでは、とある飲食店現場でのコンサルタントと店舗従業員との会話のやり取りを聞いてみましょう。
今回のテーマ:異物混入防止のために ~「モノ」の管理について~
1.異物による苦情はどの程度発生している?
2.公表されている苦情件数は氷山の一角
3.具体的にどんなものが問題になりうるのか?
4.異物混入の有効な対策とは?
・不要物を現場に持ち込まない
・壊れにくいもの、目立つものを選んで使用する
・定期的に状態を確認する

1.【異物による苦情はどの程度発生している?】
図表1「令和5年度 東京都における要因別苦情件数」は、東京都保健医療局調べによる各食品事業者で発生した苦情の件数とその内容を示した表です。カテゴリー別でみると「虫」が162件と件数として一番多いのですが、いわゆる「物」に該当する代表的な「鉱物性異物」、「合成樹脂類」、「植物性異物」の件数を合算すると167件と、虫に匹敵する件数が発生している事実が読み取れます。

2.【公表されている苦情件数は氷山の一角】
私自身も飲食店で料理に金属タワシの破片が混入しており、口に含んでしまったことがあります。繰り返し同じことを起こして欲しくない思いから、きちんとお店の方にお伝えし、以後対策を徹底することを約束してもらいました。このような事例は他にもあるとは思いますが、実際に異物混入に遭遇してしまった消費者全員が苦情、苦言としてお店に伝えているでしょうか?そんなことはありません。
図表2.に示しているのは、マーケティングにおいて有名な「グッドマンの法則」(クレームを迅速かつ的確に処理できた場合は、再購入率が著しく高くなる)という内容の一部を絵にしたものです。着目すべきなのは、中には声を挙げること自体が恥ずかしかったり、面倒だったりして静かに離れていく人々(サイレント・マジョリティ)が存在していることです。時にはこうした方々によってSNS等で情報が共有され、じわじわと多くの消費者からの信頼を失うことになり、企業として経営不振を招く恐れがあります。

3.【具体的にどんなものが問題になりうるのか?】
では実際に、異物混入の原因になるものにはどのようなものがあるのでしょうか?当社の衛生点検員が現場で「異物混入リスク」と感じるものや状態として、例えば以下のようなものがあります。
固い異物(硬質異物)は口に含んでしまったときに怪我をさせてしまう恐れがありますので、特に注意が必要です。

4.【異物混入の有効な対策とは?】
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不要物を現場に持ち込まない
まずは、仕事に関係のないものを現場に持ち込まないことが大前提です。装飾品やスマートフォンなどの私物類がしばしば作業場に持ち込まれ、異物混入の原因になっています。「イヤリング」「ネックレス」「キーホルダー」といった不要な私物は休憩室や専用のロッカーなどで保管するようにしましょう。
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壊れにくいもの、目立つものを選んで使用する
例えば、「カッター」はダンボール等を開梱する際に便利なものですが、「折れ刃」タイプと「1枚刃」タイプでは強度が異なります。折り易くしているということは、破片が発生しやすく、異物混入のリスクを高めるという結果に繫がります。調理や食品製造現場に適した劣化・破損しにくいものを選定しましょう。
また、万が一食品に混入してしまった際に、作業者が気付けるようにすることも大切です。例えば、「青色(食品には無い色)」の洗浄道具を使用することや、「サイズの大きい」クリップを使用することなどが挙げられます。
厨房内や食品製造現場で使用するモノはきちんと選定していることを全員が知っていることも重要です。各作業者が「便利だから」「使い慣れているから」などの独断で作業場に壊れやすいもの、見つけにくいものが持ち込まれてしまうことも良く発生しています。持込み禁止品ルールを決める際には不要物を持ち込まないだけでなく、作業場内に入れてもいいもの、使っていいものが何であるかも共有しましょう。
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定期的に状態を確認する
壊れにくく、作業に適したものを選んでも、いずれは劣化し、突然壊れることもあります。このような劣化・破損したものがあっても、作業場のいつもの景色として溶け込んでしまい、日常業務の中で発見できずリスクが放置されがちです。そこで必要になるのが「保守点検」です。
作業開始前/作業終了後の毎日の定期的なタイミングで、異物混入の原因となってしまうモノや状態になっていないか、点検する機会を持ちましょう。しっかり時間を設けてチェックをすることは、異物混入を防止するうえでとても重要な取り組みです。自分たちが扱う仕事道具に問題がないか、食品を提供するものとして責任感を持ってしっかり確認しましょう。
また、機械の内部や施設設備など、確認が難しいものについては、業者に定期的なメンテナンスを行ってもらうようにしましょう。

Written by
株式会社町田予防衛生研究所
町田予防衛生研究所は、食の安全に関わる各種検査やコンサルティングなど幅広く商品・サービスを取り揃え、ワンストップで食の安全をサポートする企業です。
本社所在地
〒194-0013
東京都町田市原町田3-9-9許可等
参考
・東京都保健医療局「食品安全アーカイブズ」
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/foods_archives/index.html
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