教えて衛生管理 ~薬剤名の明記はなぜ必要か?~

教えて衛生管理では、実際現場で指導した内容や会話のやり取りから、どのような管理が適切なのかを掲載しています。それでは、とある飲食店現場でのコンサルタントと店舗従業員との会話のやり取りを聞いてみましょう。
今回のテーマ:薬剤名の明記はなぜ必要か?
1.内容物の表記は必ず必要か
2.健康被害などの事故を防ぐための対策3つ
・内容物をしっかりと明記する
・ペットボトルなど飲料と誤認しやすい容器を再利用しない
・食品と近い位置に保管しない
1.【内容物の表記は必ず必要か?】
厨房内を清潔に保つために洗剤や消毒液などは必要不可欠な存在ですが、食品に混入してしまうと危害となるものであり、適切に使用しなければ目的とする効果も得られません。
「食品衛生法施行規則 別表17」の中では薬剤類の管理について以下のように言及されています。「洗浄剤、消毒剤その他化学物質については、取扱いに十分注意するとともに、必要に応じてそれらを入れる容器包装に内容物の名称を表示する等食品又は添加物への混入を防止すること。」
実際に年間数件ではありますが、容器に内容物を表示していなかったがために、お酒と間違えて漂白剤を提供してしまい健康被害を起こすような事故が発生しています。このような食品事故を予防するためにはどのような取り組みが必要でしょうか?
2.【健康被害などの事故を防ぐための対策3つ】
・内容物をしっかりと明記する。
まず第一に、誰がみても中身が何か分かるようにしておくことが大切です。
ただし油性マーカーなど用いても、油汚れなどですぐに表示が消えてしまうこともあります。専用の小分けボトルや洗剤メーカーの純正ボトルなど、元から内容物が印字/表示されている容器を使用することが望ましいです。
・ペットボトルなど飲料と誤認しやすい容器を再利用しない
視覚的に飲料と誤認しやすい容器の使用や、飲料や液体調味料など、実際に食品の保管に使われていた容器の再利用は避けましょう。
特に薄めた塩素系漂白剤を保管するために、便利だからといって4Lの焼酎が入っていた空容器など使用した場合は大変危険です。
・食品と近い位置に保管しない
食品を保管する場所と、洗剤を保管する場所を明確に区別し、定位置管理することも有効です。誤使用とは異なりますが、スプレーボトルなどは意図せずプッシュしてしまい、食品に混入してしまう恐れもありますので、このような観点からも食品と薬剤類の保管場所は明確に分ける必要があります。
上記以外にも、働く方々が洗剤の使い方について知識を持つことも大切です。
例えば「混ぜるな危険」の言葉で有名ですが、酸性洗剤と塩素系漂白剤を同時に使用することで発生する塩素ガスの事故が挙げられます。
また、蓋つきのアルミ缶密閉容器にアルカリ洗剤を保管することにより金属腐食が起こり破裂する事故など、思いもよらない人的被害に繋がる恐れもあります。
食品衛生の観点とはまた別に、労働安全の観点からも重要なため、従業員への教育なども含め、日頃から適切な管理と使用を心掛けていきましょう。
Written by
株式会社町田予防衛生研究所
町田予防衛生研究所は、食の安全に関わる各種検査やコンサルティングなど幅広く商品・サービスを取り揃え、ワンストップで食の安全をサポートする企業です。
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