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梅雨ごろから夏場に急増する細菌性食中毒について

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細菌性食中毒事故は、例年梅雨ごろから急増する傾向があります。

食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります(政府広報オンライン 食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント)。

今回の記事では、過去5年間(2018~2022年)の厚生労働省の食中毒統計資料に基づいて、細菌性食中毒件数の推移や、原因物質(食中毒菌)を多い順にランキング形式でご紹介します。また、各食中毒の原因、その特徴や、どのようなポイントに注意すればよいか等をまとめてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

※2021年4月12日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年5月15日に再度公開しました。


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1. 梅雨ごろから急増する細菌性食中毒

一般に梅雨から夏は湿度や気温が上昇するため、多くの細菌が好む環境になります。

調理・製造から消費者が喫食するまでの温度管理などが不十分だと細菌が増殖し、品質の低下だけではなく食中毒のリスクが高まります。最近では、テイクアウトやデリバリー販売が盛んになり、これらは飲食店内での食事の提供よりも、喫食までの時間が長くなり、食中毒のリスクは増大します。
あわせてこちらの記事もご覧ください。
>>テイクアウトやデリバリー販売での食中毒に注意しましょう!のページへ


また、少量の菌でも発症する食中毒も増える時期ですので、食中毒予防の三原則などをきちんと押さえて、食中毒事故の発生を防ぎましょう!

食中毒予防の三原則を含む食中毒予防の基礎に関してはこちら
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ



2018年~2022年の5年間の食中毒統計データを基に、細菌性食中毒事故件数の推移をグラフにすると以下のようになります。

 

食中毒事故件数年間推移

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2018年~2022年のデータを基に作成(5年間分合計)

 
上記グラフ中の5~8月に、多かった原因物質(食中毒菌)は以下の順です。

1位:カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 407件

2位:サルモネラ属菌 55件

3位:ぶどう球菌 53件

4位:腸管出血性大腸菌(VT産生) 51件

4位:ウエルシュ菌 51件

 

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各種食中毒菌について 


【カンピロバクター・ジェジュニ/コリ】

カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒は、少ない菌数で発症するとされており、加熱不良の食品を提供した場合には、食中毒事故につながりやすいといえます。

カンピロバクター属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について
カンピロバクター食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ

 

【サルモネラ属菌】

サルモネラ属菌は多くの家畜や動物の体内に生息し、乾燥に強い菌です。
特に鶏肉や鶏卵の加熱不足や生食が発症の原因となることが多いとされます。

サルモネラ属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について
サルモネラ食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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【ぶどう球菌】

ぶどう球菌による食中毒事故の多くは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるものです。
黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくります。この毒素を食品と一緒に喫食することにより食中毒が起こります。黄色ブドウ球菌は加熱調理で十分に殺菌が可能ですが、毒素は100℃20分の加熱でも分解されませんので注意が必要です。

黄色ブドウ球菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「黄色ブドウ球菌食中毒の症状や特徴、予防方法について
黄色ブドウ球菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ

 

【腸管出血性大腸菌】

腸管出血性大腸菌は人の腸管内でベロ毒素(vero toxin ; VT)と呼ばれる毒素を産生し、その毒素により出血性の大腸炎を引き起こす細菌性の食中毒です。中でもO157が有名で少量でも発症しやすく、場合によっては重篤な症状を伴う特徴があります。

腸管出血性大腸菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「O157等の腸管出血性大腸菌食中毒の症状や特徴、予防方法について
腸管出血性大腸菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
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【ウエルシュ菌】

ウエルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、カレーや煮込み料理等、大鍋で大量に調理し、作り置かれていた食品が原因となることが多くあります。100℃で1時間の加熱にも耐える熱に強い芽胞を作り、通常の加熱調理では死滅しないため注意が必要です。

ウエルシュ菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ウエルシュ菌食中毒の症状や特徴、予防対策について
ウエルシュ菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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2. 細菌性食中毒予防の三原則

細菌性食中毒予防の三原則は「つけない」「ふやさない」「やっつける」です。

「つけない」

【人】【食材や食品】【環境】の管理の観点からポイントをお伝えします。

【人】

人の管理で一番重要なことは“手洗い”です。人の手を介して食中毒菌で汚染してしまうことがあります。ではどのようなタイミングで手洗いをするかですが、これに関しては、「手洗いのタイミング - When to Wash -」の記事をご覧ください。また、手の洗い方に関しては、当社では「食品衛生のお役立ち掲示物」をご用意しておりますので、こちらを利用して従業員の方、全員が正しく手洗いできるようにようにしましょう。手洗いに加えて、使い捨て手袋を適切に利用することも重要です。
特に、手や指に傷がある際に使い捨ての手袋(ビニール、樹脂性等)を使用することで食材に黄色ブドウ球菌の付着を防ぐができます。
黄色ブドウ球菌食中毒に関しては
>>黄色ブドウ球菌食中毒の症状や特徴、予防方法についてのページへ

手洗いが正しく行われているかは、手指の拭き取り検査で確かめることができます。
>>環境衛生検査のページへ

この他、従業員の定期的な健康チェックも必要です。従業員が食中毒菌に感染していた場合、その方の糞便から手、そこから直接的または調理器具などを介した間接的に食品を汚染させてしまう可能性があります。特に健康不良を訴えない健康保菌者(症状は無い、または軽症であるが体内に食中毒菌を保有している人を指す)の存在もあることから、定期的に検便を行いましょう。

高品質で業界最速級の検便については
>>検便のページへ

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【食材や食品】

食材によっては、例えば野菜のように土や泥がついており、腸管出血性大腸菌やウエルシュ菌などの汚染の恐れがあるものもあります。しっかりと汚れを洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で消毒をするなどにより、食中毒菌を除去・低減する工程はとても重要です。特に加熱による殺菌工程がない食品では洗浄と消毒の工程が重要です。未加熱野菜による食中毒事故に関しては、関連記事「未加熱の野菜による食中毒事故について」をご覧ください。

また、調理済み食品が食材から汚染を受けないようにする対策(エリア分け・動線の整備等の区分け、定置管理、覆い掛けして保管するなど)も重要です。

洗浄や消毒が正しく行われているか、保管時に食中毒菌が増えていないかは「食品微生物検査」で確認しましょう。

食品衛生検査のページを開きます

 

 

【環境】

ドアや窓、換気設備の開口部、調理や保管設備、調理器具などからの汚染にも気をつけなければなりません。食中毒菌は目には見えませんので、一見清潔そうな調理場に見えても食中毒菌で汚染されている可能性があります。設備の管理ルールの周知と徹底や、設備や器具は洗浄と消毒により衛生的な取り扱うことと共に、”使い分け”が重要です。特に調理器具は原材料用や調理済み品用等、用途ごとに分けて使いましょう。これにより食材間での交差汚染を予防することができます。衛生的な環境で調理できているかは、汚染状況が見える化できる「環境衛生検査」をおすすめします。これによりどこが(何が)汚染度合いが高いかがわかり、対策が立てやすくなります。この他、防虫防鼠も適宜実施しましょう。

「ふやさない」

食中毒菌を増やさないためには「温度管理」と「保管時間を短く」することが重要です。食中毒菌を含む細菌にはそれぞれ増殖に適した温度域があります。20~50℃がそれにあたります。このため、この温度帯を避け、細菌の増殖スピードが抑えられる低温か、死滅が始まる高温帯で保管することで、細菌の増殖を抑制することができます。冷たいまま提供する食品の場合には、一般的に食中毒菌は最低発育温度が5℃くらいのものが多とされており、極力低温で管理しましょう。温かいまま提供する食品の場合には、65℃以上で保温しましょう。また、保管時間に関しても極力短時間で提供できるように心がけましょう。

調理後に流通させる食品に関しては、科学的根拠をもって期限設定をする必要があります。このためには、食品微生物検査により細菌の増殖を抑えられる期間を把握し、それに官能検査などの結果を考慮して合理的に設定しましょう。

「やっつける」

やっつけるとは、食中毒菌を殺菌・消毒することです。食中毒菌の殺菌・消毒において、加熱できる食材や食品の場合には、芽胞菌やノロウイルスを除き、中心温度75℃で1分間の加熱が有効とされています。芽胞菌に関しては加熱調理でやっつけることが困難であるため「ふやさない」の対策が重要です。各々設定した条件において殺菌・消毒が正しくなされたかを確認するためには、「食品微生物検査」で確認しましょう。


食中毒や食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒や食中毒予防の基礎のページへ

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3. 食品の安全を確認するには

食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。

食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。

また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
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