学校で起こりやすい食中毒事故

今回は学校*が発生場所となった食中毒事故についてご紹介します。学校での食事は多人数で同一のものを喫食するため、事故が起こると患者数が多い傾向があります。この記事では2018年~2022年の5年間を集計し、どのような細菌やウイルス等が原因となったのかをランキング形式でご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
*厚生労働省の統計では単独調理場や共同調理場、寄宿舎等個別に統計が出されていますが、本記事では各施設を学校と一括し、ランキングを作成しております。
※2020年10月14日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年6月17日に再度公開しました。
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1. 学校で起こりやすい食中毒事故
厚生労働省「過去の食中毒発生状況」をもとに、施設別に過去5年間(2019-2023年)の食中毒発生状況を見てみると、学校は7番目に多く食中毒事故を起こしています。
しかし、1件当たりの食中毒事故に対する患者数の平均値*1を見てみると、食中毒事件発生件数最多の飲食店では約13名、家庭では約2名であるのに対して学校では約34名となっており、同じ1件の食中毒事故でもより多くの人々に影響があることが分かります。
厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:飲食店 2107件
2位:家庭 665件
3位:販売店 288件
4位:事業場 153件
5位:仕出屋 103件
6位:旅館 86件
7位:学校 50件
2. 学校での食中毒事故原因ランキング

厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:細菌-カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 14件
2位:細菌-ウエルシュ菌 12件
3位:ウイルス-ノロウイルス 5件
3位:化学物質-化学物質 5件
3位:自然毒-植物性自然毒 5件
それぞれの原因物質に関する特徴、対策、関連記事等については以下の通りです。
【カンピロバクター・ジェジュニ/コリ】
カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒は、少ない菌数で発症するとされており、加熱不良の食品を提供した場合には、食中毒事故につながりやすいといえます。
カンピロバクター属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について」
カンピロバクター食中毒のリスクを見える化するには
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【ウエルシュ菌】
ウエルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、カレーや煮込み料理等、大鍋で大量に調理し、作り置かれていた食品が原因となることが多くあります。100℃で1時間の加熱にも耐える熱に強い芽胞を作り、通常の加熱調理では死滅しないため注意が必要です。
ウエルシュ菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ウエルシュ菌食中毒の症状や特徴、予防対策について」
ウエルシュ菌食中毒のリスクを見える化するには
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【ノロウイルス】
ノロウイルスは感染力が強く、集団感染のリスクの高いウイルスです。カキなどの二枚貝の喫食による食中毒が有名ですが、不顕性感染者(感染しているが症状がないまたは軽症)から食材を二次汚染し食中毒につながることも十分に気を付けなければなりません。
ノロウイルスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ノロウイルス検便で不顕性感染者の発見が大切です。
>>ノロウイルス検便のページへ
ノロウイルスによる環境の汚染を確認するには
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【化学物質】
化学物質による食中毒の多くはヒスタミンによるものです。
ヒスタミンとは、赤身魚に多く含まれるヒスチジンというアミノ酸の一種が、ヒスタミン産生菌の持つ酵素の働きによって変化し、産生されるものです。ヒスタミンは調理時の加熱では分解されず、一度産生されてしまうと対処は難しい為、産生を防ぐことが重要です。
ヒスタミン食中毒の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ヒスタミンの食中毒をご存じですか?」
ヒスタミン食中毒のリスクを見える化するには
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【植物性自然毒】
学校で起きた植物性自然毒による食中毒は、その多くがジャガイモによるものです。ジャガイモの芽や緑色になった部分に天然毒素のソラニンやチャコニンが含まれます。これらを多く含むジャガイモを食べると、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることがあります。
農林水産省 ジャガイモによる食中毒を予防するために
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル
3. 食品の安全を確認するには
食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。
食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。
また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
>>食品微生物検査のページへ
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