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ボツリヌス菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

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ボツリヌス菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

ボツリヌス食中毒は、偏性嫌気性菌(空気の無い環境で生育、増殖する菌)で芽胞菌(熱に強い芽胞という殻のようなもの作り、加熱調理等を生き残る菌)のボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が食品中で増殖した際に産生するボツリヌス毒素によって引き起こされる食中毒です。ボツリヌス毒素は自然界に存在する毒素の中で最強の毒力があるといわれており、過去には、真空パック入りのからしれんこんやあずきばっとう等の密封された容器包装食品での事故が発生しています。また、1 歳未満の赤ちゃんでは、ボツリヌス菌の芽胞を摂取することにより、乳児ボツリヌス症にかかることがあります。ハチミツはボツリヌス菌が混入していることがあり、1歳未満の赤ちゃんにハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品は与えないように、厚生労働省から注意喚起がなされています。 ※1歳以上の方にとっては、ハチミツはリスクの高い食品ではありません。
この記事ではボツリヌス菌の特徴、食中毒の原因などをご紹介し、どのような対策でボツリヌス食中毒の予防ができるのかを分かりやすくまとめました。ぜひ最後までご覧ください。

※2020年8月7日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年10月19日に再度公開しました。



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1. ボツリヌス菌の特徴

ボツリヌス菌は土壌や海、川など自然界の泥砂中に広く分布している菌で、熱に強い芽胞という殻のようなもの作ります。この芽胞状態では増殖することはありませんが、通常の調理による加熱では殺菌することができません。


電子顕微鏡写真

ボツリヌス菌の電子顕微鏡写真
出典:内閣府ホームページ (https://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/shokuchuudoku_kenbikyou.html)


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【ボツリヌス菌食中毒の症状】

ボツリヌス菌食中毒の症状:ボツリヌス菌が食品中で増殖した際に産生するボツリヌス毒素によって引き起こされます。潜伏期間は、ボツリヌス毒素が産生された食品を喫食後、6時間~10日(通常18時間から48時間)後、初期症状として、嘔吐、腹痛、下痢等消化管症状を発症し、便秘になります。その後、眼瞼下垂(まぶたが上がらなくなる症状)、複視、嚥下障害、構音障害(正常に言葉を発せなくなる症状)等の脳神経障害等の症状が出ますが、意識ははっきりしていて感覚障害や発熱はありません。軽度の脳神経障害のみの場合もあれば、すべての随意筋麻痺が起き重篤化する場合もあります。重症例では呼吸麻痺により死亡します。

乳児ボツリヌス症の症状:便秘で気づくことが多く(多くは3日以上持続)、不活発、哺乳力低下、泣き声の減弱等の症状がみられます。また、脳神経麻痺や身体麻痺、筋緊張低下等症状が重篤化し、横隔膜まで麻痺が及ぶと人工呼吸器の使用が必要になり、最悪の場合死に至ります。

 

【ボツリヌス菌食中毒の発生時期】

国内でのボツリヌス菌による食中毒事故は発生件数が少なく、明確な発生しやすい時期については不明です。厚生労働省食中毒統計(2016年~2020年)では2017年2月に東京都において家庭で蜂蜜を喫食したことによる事故(乳児ボツリヌス症の事例)が1件発生しています。この他、直近の2021年7月に熊本県で真空パックの総菜が原因食品のボツリヌス菌食中毒が起こり、2名が言語障害や呼吸困難の症状で入院する事故が発生しています。


【ボツリヌス菌食中毒の原因食品等】

ボツリヌス菌は酸素のない(少ない)状態で増殖する偏性嫌気性であり、嫌気状態で増菌する際に毒素を産生するため、真空状態の食品(缶詰、瓶詰(特に自家製)、レトルトパウチ食品によく似た容器包装詰め食品)が原因食材となることが多いです。

容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルトパウチ食品)は、熱に強いボツリヌス菌の芽胞が死滅する温度と時間で加熱が行われ、ボツリヌス菌やその他の細菌も死滅しているため、常温輸送や保管が可能ですが、外見は良く似ていても「食品を気密性のある容器に入れ、 密封した後、加圧加熱殺菌」という表示が無く、もしくは「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」等が表示された食品(真空パック詰食品)は、常温ではボツリヌス菌を含む細菌の増殖の恐れがあります。表示に従い、必ず低温管理して、期限内に消費しましょう。

食品衛生検査ナビゲーター「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」で確認!

 

2. ボツリヌス菌食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防の基礎のページへ

ボツリヌス菌は土壌に広く分布しているため、 食材の汚染防止は困難です。また、ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く食材の中心温度が120℃4分間(または100℃6時間)の条件で加熱しなければ殺菌できません。このため、菌の増殖を抑えることや毒素を失活させることが予防のポイントなります。

具体的には次の3つのポイントが重要になります。
①「原材料を十分に洗浄する」②「低温管理と水分活性やpHのコントロール」③「喫食・提供直前は十分な加熱をする」

 

①「原材料を十分に洗浄する」

原材料を十分に洗浄することで、付着した菌を洗い流し、菌数を減らすことができます。

②「低温管理と水分活性やpHのコントロール」

ボツリヌス菌は、3℃未満または水分活性(Aw)0.94 未満、pH4.6未満では増殖しないとされています。

容器包装に密封した食品のうち、pHが4.6を超え、かつ、水分活性が0.94を超えるものであって、120℃、4分間に満たない条件で殺菌を行ったもの(容器包装詰低酸性食品)は、ボツリヌス菌食中毒を防ぐために、120℃で4分間加熱するか、 生産から消費まで10℃以下で管理し、はっきり「要冷蔵」と表示する、等の対策が求められます。

厚生労働省 真空パック詰食品(容器包装詰低酸性食品)のボツリヌス食中毒対策

③「喫食・提供直前は十分な加熱をする」

ボツリヌス菌が産生する毒素は易熱性で、80℃30 分間の加熱処理または中心温度 85℃に到達後室温で30分保持で失活するとされています。このため、食べる直前に加熱することは有効です。ただし、ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く120℃4分間(または100℃6時間)の状態で加熱しなければ死滅しないため、加熱後は速やかに喫食・提供する等注意が必要です。

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3. まとめ

・ボツリヌス菌食中毒は、ボツリヌス菌等が産生するボツリヌス毒素によって引き起こされる食中毒である。

・ボツリヌス菌は自然界に広く分布しており、熱に強い芽胞を作る偏性嫌気性菌で、芽胞状態では通常の調理による加熱では死滅しない。

・缶詰、瓶詰、真空パック詰め食品(レトルトパウチ食品によく似た容器包装詰め食品)などが原因で食中毒を引き起こす。

・食中毒予防対策は、「原材料を十分に洗浄する」、「低温管理と水分活性やpHのコントロール」、「喫食・提供直前は十分な加熱をする」が重要になる。

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FAQ

ボツリヌス菌の特徴は?
ボツリヌス菌は、土壌や海、川など自然界の泥砂中に広く分布している菌で、熱に強い芽胞という殻のようなもの作ります。この芽胞状態では増殖することはありませんが、通常の調理による加熱では殺菌することができません。

ボツリヌス菌食中毒の症状は?
ボツリヌス菌食中毒は、ボツリヌス菌が食品中で増殖した際に産生するボツリヌス毒素によって引き起こされます。潜伏期間は、ボツリヌス毒素が産生された食品を喫食後、6時間~10日(通常18時間から48時間)後、初期症状として、嘔吐、腹痛、下痢等消化管症状を発症し、便秘になります。その後、眼瞼下垂(まぶたが上がらなくなる症状)、複視、嚥下障害、構音障害(正常に言葉を発せなくなる症状)等の脳神経障害等の症状が出ますが、意識ははっきりしていて感覚障害や発熱はありません。軽度の脳神経障害のみの場合もあれば、すべての随意筋麻痺が起き重篤化する場合もあります。重症例では呼吸麻痺により死亡します。

ボツリヌス菌食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防の基礎のページへ

具体的なボツリヌス菌食中毒の予防方法としては、主に次の3つのポイントがあります。
①「原材料を十分に洗浄する」②「低温管理と水分活性やpHのコントロール」③「喫食・提供直前は十分な加熱をする」

 

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    • 国際規格 [ISO/IEC17025:2017] 認定取得
    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・国立感染症研究所 ボツリヌス症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/7275-botulinum-intro.html

・東京都福祉保健局 食品衛生の窓 ボツリヌス菌
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/boturinu.html

・厚生労働省 蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事案について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000161263.pdf

・厚生労働省 ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html

・厚生労働省 食中毒統計 過去食中毒事件一覧(2016年~2020年)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・厚生労働省 真空パック詰食品(容器包装詰低酸性食品)のボツリヌス食中毒対策
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/03-4.html

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