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セレウス菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

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セレウス菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

セレウス菌(Bacillus cereus)は、過去にご紹介したウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)と同様に通常の加熱調理に耐える熱に強い芽胞を形成する菌です。食中毒事例としては、チャーハンやピラフ、スパゲッティや焼きそば等が代表的な原因食品として挙げられ、また、飲食店をはじめとする調理施設で多く発生している傾向もあるため、飲食に関わるお仕事をされている方は特に注意が必要な食中毒菌といえます。今回はこのセレウス菌の特徴や対策等を、データを基にわかりやすくご紹介するのでぜひ最後までご覧ください。

※2020年8月7日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年11月6日に再度公開しました。

食中毒予防の三原則についてはこちら
>>食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」とはのページへ

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1. セレウス菌の特徴

セレウス菌は土の中や河川など自然界に広く分布する通性嫌気性菌(酸素がない状態でも活動できる菌)です。セレウス菌による食中毒は、症状により大きく分けて、「嘔吐型」と「下痢型」の2種類があります。特に日本国内では「嘔吐型」の事例が多く発生しています。嘔吐型の食中毒は、セレウス菌が食品中で産生した嘔吐を引き起こす毒素(セレウリド)によって引き起こされます。一方、国内では事例は少ないですが、下痢型食中毒では食品とともに摂取したセレウス菌がヒトの小腸で増殖し、産生される下痢を引き起こす毒素によって起こります。また、セレウス菌は90℃で60分加熱にも耐える芽胞(熱に強い殻のようなもの)を形成し生き残ります。産生された毒素も熱に強く、通常の加熱調理では失活しません。

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【セレウス菌食中毒の症状】

症状は嘔吐型と下痢型で異なります。
下表のとおり、個々の症状をまとめておりますのでご覧ください。

  嘔吐型 下痢型

毒素を作る場所

食品内

感染者の小腸

潜伏期間

30分~5時間

6時間~15時間

症状等

嘔吐、吐き気、下痢、腹痛等の症状が表れるがいずれも軽症

腹痛、下痢等の症状が表れ、抵抗力の弱い方が感染すると急性肝不全を起こす可能性がある。



【セレウス菌食中毒の発生時期】

セレウス菌による食中毒は、過去5年間で7月に最も多く発生しています(23件中6件)。セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすいため、7~9月にかけての夏場は特に注意が必要となります。



セレウス菌食中毒事故発生件数グラフ

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2018年~2022年のデータを基に作成



【セレウス菌食中毒の発生場所】

過去5年間のセレウス菌による食中毒事故の約半数が飲食店で発生しています(25件中14件)。次いで学校(23件中2件)、製造所(23件中2件)、家庭(23件中2件)での発生が多くなっております。飲食店をはじめ、年間の食事提供量の多い施設は特に注意が必要です。

 

セレウス菌食中毒発生場所グラフ

厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2018年~2022年のデータを基に作成



 

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【セレウス菌食中毒の原因食品等】

過去5年間の原因食材としては、チャーハンやピラフ等の米飯、スパゲッティや焼きそばなどの麺類が多く見受けられます。米や小麦等の穀類は土壌に接する機会が多いため、セレウス菌に汚染されている可能性が高い食材です。セレウス菌は熱に強い芽胞を形成し、加熱調理をしても芽胞が生き残り、放冷中などに発芽し増殖してしまうため、調理済みの食品を常温で長時間保存しない等の対策が重要です。一度に大量調理して保管する食品には特に注意しましょう。
食材や食品の汚染状況の確認には食品微生物検査がおすすめです。

食品衛生検査のページを開きます

 

 

2. セレウス菌食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

セレウス菌は自然界に広く分布しているため食材への汚染を防ぐことは困難です。また、芽胞は通常の加熱で死滅させることはできないため、加熱調理後に菌を増殖させないように食品を取扱う必要があります。

具体的には主に次の2つのポイントがあります。①必要最少量の調理を行い、速やかに提供・喫食する。②保管する場合には、8℃以下または55℃以上を保つ。

 

①「必要最小量の調理を行い、速やかに提供・喫食する」

加熱調理後に常温放置することでセレウス菌の増殖につながります。調理後常温放置せず、速やかに提供・喫食しましょう。

②「保管する場合には、8℃以下または55℃以上を保つ」

セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすい菌です。調理後に保管してから提供・喫食しなければならない場合は8℃以下で冷蔵保管、もしくは55℃以上で保管しましょう。また、冷蔵保存の際は小分けにして保管することで冷却速度を速めることができます。



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3. まとめ

・特徴: 自然界に広く分布し、熱に強い通性嫌気性菌で、症状で分けると嘔吐型と下痢型の2種類がある。

・症状: 症状: 嘔吐型は嘔吐や吐き気等、下痢型は腹痛や下痢等の症状があり、下痢型は重篤化すると急性肝炎を招く恐れがある。国内では嘔吐型が多い。

・発生時期: 夏場に多く発生している。

・発生場所: 飲食店で最も多く発生している。

・原因食材: チャーハンや焼きそば等の作り置きする米飯、麺類が多い。

・対策: 最少量を調理し、速やかに提供・喫食する。保管しなければならない場合は、8℃以下または55℃以上を保つ。


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FAQ

セレウス菌の特徴は?
セレウス菌は土の中や河川など自然界に広く分布する通性嫌気性菌(酸素がない状態でも活動できる菌)です。セレウス菌による食中毒は、症状により大きく分けて、「嘔吐型」と「下痢型」の2種類があります。特に日本国内では「嘔吐型」の事例が多く発生しています。嘔吐型の食中毒は、セレウス菌が食品中で産生した嘔吐を引き起こす毒素(セレウリド)によって引き起こされます。一方、国内では事例は少ないですが、下痢型食中毒では食品とともに摂取したセレウス菌がヒトの小腸で増殖し、産生される下痢を引き起こす毒素によって起こります。また、セレウス菌は90℃で60分加熱にも耐える芽胞(熱に強い殻のようなもの)を形成し生き残ります。産生された毒素も熱に強く、通常の加熱調理では失活しません。

セレウス菌食中毒の症状は?
セレウス菌食中毒には嘔吐型と下痢型があります。嘔吐型は嘔吐、吐き気、下痢、腹痛等の症状が表れるがいずれも軽症です。下痢型は腹痛、下痢等の症状が表れ、抵抗力の弱い方が感染すると急性肝不全を起こす可能性があります。

セレウス菌食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的なセレウス菌食中毒の予防方法としては、主に次の2つのポイントがあります。
①必要最少量の調理を行い、速やかに提供・喫食する。②保管する場合には、8℃以下または55℃以上を保つ。

 

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    • 国際規格 [ISO/IEC 27001:2013] 認証取得
    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・厚生労働省 4.食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・国立感染症研究所 セレウス菌感染症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/spiruria/392-encyclopedia/427-cereus-intro.html

・東京都福祉保健局 セレウス菌(Bacillus cereus
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/bachiru.html

・食品安全委員会 ファクトシート セレウス菌食中毒 (Bacillus cereus foodborne poisoning)
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/06bacillus_cereus.pdf

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