死者数が多い食中毒ランキング(2019~2023年)

今回の記事では厚生労働省の食中毒統計資料に基づいて、食中毒事故による死者数を原因物質ごとにランキング形式でご紹介します。この記事の中で各食中毒の原因となる菌やウイルスなどの特徴やどのようなポイントに注意すればよいかをまとめた記事についてもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※2020年12月7日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年5月27日に再度公開しました。
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1. 過去5年間の食中毒事故による死者数ランキング
2019年~2023年の5年間の食中毒統計データを基に、原因物質別にランキング付けしました。

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:自然毒-植物性自然毒 9人
2位:自然毒-動物性自然毒 3人
3位:細菌-サルモネラ属菌 2人
4位:細菌-腸管出血性大腸菌 1人
4位:細菌-その他の病原大腸菌 1人
4位:ウイルス-ノロウイルス 1人
4位:ウイルス-その他のウイルス 1人
原因物質ごとに事例をご紹介します。
植物性自然毒
【事例】
発生時期:2023年10月
発生場所:家庭
原因食材:ドクツルタケ(推定)
有毒植物による食中毒に注意しましょう! 北海道
動物性自然毒
【事例】
発生時期:2022年9月
発生場所:飲食店
原因食材:マフグ(推定)
フグによる食中毒に注意しましょう 青森県庁ホームページ
サルモネラ属菌
【事例】
発生時期:2023年8月
発生場所:仕出屋
原因食材:不明
厚生労働省 過去の食中毒事件一覧(2023年)
腸管出血性大腸菌
【事例】
発生時期:2022年8月
発生場所:販売店
原因食材:レアステーキ、ローストビーフ(令和4年8月21日から同月27日に提供された肉総菜)
お肉は中心部まで十分に加熱しましょう 京都府
その他の病原大腸菌
【事例】
発生時期:2023年6月
発生場所:飲食店
原因食材:鶏肉のトマト煮(施設給食)
厚生労働省 過去の食中毒事件一覧(2023年)
ノロウイルス
【事例】
発生時期:2019年1月
発生場所:仕出屋
原因食材:不明
厚生労働省 過去の食中毒事件一覧(2019年)
その他のウイルス
【事例】
発生時期:2023年1月
発生場所:老人ホーム
原因食材:不明
厚生労働省 過去の食中毒事件一覧(2023年)
【植物性自然毒】
植物性自然毒はキノコと高等植物に大別されます。
キノコ
ツキヨタケやクサウラベニタケ、テングタケ・イボテングタケが有名です。
食用と判断できないキノコは絶対に「採らない」「食べない」「人にあげない」が特に重要です。
東京都福祉保健局 食品衛生の窓 キノコ食中毒
高等植物
スイセンやトリカブト、ヨウシュウヤマゴボウなどが有名です。
植物の新芽、若葉や根、実など一部分を見ただけでは、有毒植物と食用植物とを見分けることが難しい場合があります。
東京都福祉保健局 食品衛生の窓 間違えやすい有毒植物
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル
【動物性自然毒】
すぐに思い浮かぶのはフグではないでしょうか?
フグの体内に含まれるテトロドトキシン(TTX)がフグの喫食による食中毒の主な原因です。過去には死亡例も報告されています。
国内では都道府県知事等が認めた専門のフグ処理者により調理されたフグが消費者に提供されていますが、釣ったフグを家庭で調理し喫食したことによる食中毒事故が起こっています。自分で釣ったフグ又は知人から譲り受けたフグの素人調理は絶対に止めてください。
厚生労働省 安全なフグを提供しましょう
フグ以外の有毒な魚や二枚貝、巻貝の喫食による食中毒もあります。
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル
【サルモネラ属菌】
サルモネラ属菌は多くの家畜や動物の体内に生息し、乾燥に強い菌です。
特に鶏肉や鶏卵の加熱不足や生食が発症の原因となることが多いとされます。
サルモネラ属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について」
サルモネラ食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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>>お客様の声のページへ
【腸管出血性大腸菌】
腸管出血性大腸菌は人の腸管内でベロ毒素(vero toxin ; VT)と呼ばれる毒素を産生し、その毒素により出血性の大腸炎を引き起こす細菌性の食中毒です。中でもO157が有名で少量でも発症しやすく、場合によっては重篤な症状を伴う特徴があります。
腸管出血性大腸菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「O157等の腸管出血性大腸菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」
腸管出血性大腸菌食中毒のリスクを見える化するには
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【その他の病原大腸菌】
・病原大腸菌は主要なものとして腸管病原大腸菌(EPEC)、腸管侵入性大腸菌(EIEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAEC)の5つのタイプがある。また様々な食材に付着している可能性があり、食材以外では飲用、調理用の井戸水や排せつ物の処理等により感染することもある。
病原大腸菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「病原大腸菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」
病原大腸菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
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【ノロウイルス】
ノロウイルスは感染力が強く、集団感染のリスクの高いウイルスです。カキなどの二枚貝の喫食による食中毒が有名ですが、不顕性感染者(感染しているが症状がないまたは軽症)から食材を二次汚染し食中毒につながることも十分に気を付けなければなりません。
ノロウイルスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ノロウイルス検便で不顕性感染者の発見が大切です。
>>ノロウイルス検便のページへ
ノロウイルスによる環境の汚染を確認するには
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2. 食品の安全を確認するには
食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。
食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。
また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
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