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病原大腸菌による食中毒の種類や事故事例について

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病原大腸菌といえば、2020年の6月に起こった埼玉県志木市の小中学校での大規模食中毒の原因としても記憶に新しいと思います。ひとくちに大腸菌といっても様々な種類があり、多くの大腸菌は無害ですが、一部の、特に人体に悪影響を与えるものを病原大腸菌(または下痢原性大腸菌)といいます。今回は病原大腸菌の種類・特徴・対策などをわかりやすくご紹介します。

関連記事 O157等の腸管出血性大腸菌食中毒の症状や特徴、予防方法について


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1. 病原大腸菌の種類

病原大腸菌は病気の起こし方によって、主として以下の5つに分類されます。

種類 症状

腸管病原大腸菌
(EPEC)

下痢、腹痛等サルモネラ属菌とよく似た急性胃腸炎をおこします。

腸管侵入性大腸菌
(EIEC)

腸の細胞内へ入り、血便、腹痛、発熱等赤痢のような症状を起こします。

腸管出血性大腸菌
(EHEC)

ベロ毒素を産生し、腹痛や血便などの出血性腸炎を起こします。
ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)とも呼ばれています。

腸管毒素原性大腸菌
(ETEC)

エンテロトキシン(毒素)を産生し、コレラのような激しい水様性の下痢を起こします。

腸管凝集性大腸菌
(EAEC)

エンテロトキシン(毒素)を産生し、嘔吐の症状は少なく、腹痛、水様性の下痢等の症状を起こします。


上記5種類の病原大腸菌のうち、腸管出血性大腸菌(EHEC)による食中毒が多いといわれています。腸管出血性大腸菌(EHEC)は代表的なO157をはじめ感染力が強く合併症などにより症状が重篤化する特徴があり、重症の場合は死亡することもあります。
 

2. 原因食材

大腸菌(病原大腸菌を含む)は人や家畜など様々な生物が保菌している可能性があり、大腸菌を保菌している生物の排せつ物や手指などから食材に菌が付着すること(二次汚染)により食中毒につながります。つまり、特定の食材が原因となっているというよりも、あらゆる食材が原因となり得るということです。

3. 食中毒事故事例の紹介

病原大腸菌の種類別に、過去の事故事例の一部をまとめました。より詳細なデータをご覧になりたい方はページ最下部の参考より各リンクをご確認ください。

種類 事例

腸管病原大腸菌
(EPEC)

 

発生場所:保育所
有症者数:約80名
血清型:「O55:H7」
原因食品:調理室で調理された給食
    (原因食材は特定されず)
症状:下痢、腹痛、発熱等

腸管侵入性大腸菌
(EIEC)

 

発生場所:専門学校
有症者数:複数名
    (36名の便より当該菌検出)
血清型:「O6」
原因食品:仕出し弁当
症状:下痢、腹痛等

腸管出血性大腸菌
(EHEC)

 

発生場所:焼肉店
有症者数:8名(8名中4名は入院)
血清型: 「O157」
原因食品:炙り牛レバー(推定)
症状:血便等

腸管毒素原性大腸菌
(ETEC)

 

発生場所:社員食堂
血清型:「O148」
有症者数:約520名
原因食品:不明
症状:腹痛、嘔吐、下痢等

腸管凝集性大腸菌
(EAEC)

 

発生場所:中学校
血清型:「O44:H18」
感染者数:約230名
原因食品:学校給食
    (原因食材は特定されず)
症状:腹痛、下例等

4. 食中毒予防対策

具体的には次の4つのポイントが重要です。
①「食材は十分な加熱・消毒を行う」②「食材を適切な温度で管理する」③「二次汚染を防止する」④「飲用・調理用の水に注意する」

 

①「食材は十分な加熱・消毒を行う」

病原大腸菌は熱に弱く中心温度75℃、1分間の加熱で死滅するため、十分な加熱を行いましょう。

サラダ用の野菜等の下処理などには次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒が有効です。適切な濃度(200ppm)に調整して用いることで食材の消毒が可能になります。
また、漬物の中でも浅漬けは、加熱や発酵の工程がなく、製造工程で十分な殺菌できないことから、特に注意が必要です。洗浄・殺菌や、低温管理など、原料から製品までの一貫した衛生管理が必要です(厚生労働省 浅漬の衛生管理について 漬物事業者の食中毒予防対策)。

殺菌・消毒がなされたかは食品微生物検査で確認しましょう!

②「食材を適切な温度で管理する」

増殖防止のため10℃以下の冷蔵または-15℃以下での冷凍保存を行いましょう。ただし、病原大腸菌が死滅するわけではないため注意が必要です。

③「二次汚染を防止する」

調理前及び調理の変わり目に手を洗いましょう。特に、下処理前の生肉や生野菜には菌が付着している可能性が高いことから、生肉や生野菜などに触れた場合には、その後、十分な手洗いを心がけましょう。

サラダ等の洗浄、殺菌済みの生野菜や加熱調理済みの食品に菌がつく(二次汚染)のを防ぐことが重要です。二次汚染防止のため、衛生手袋(ゴム、ビニール等)を使用することでより確実に菌の付着を防止できます。
また、下処理前の食材(汚染食材)と非汚染食材の調理器具を分けるか、汚染食材を扱った後の調理器具を洗浄、消毒することで非汚染食材への二次汚染防止ができます。

感染者の糞便による感染リスクがあるため、飲食に携わる方の場合は「出勤しない・させない」ことが重要です。
また、ドアノブや取っ手等には菌を含む汚れが付着していることを前提に、定期的に次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で消毒を行いましょう。

調理環境の衛生状況を拭き取り検査で確認!
>>環境衛生検査のページへ

④「飲用・調理用の水に注意する」

井戸水や貯水槽等水道管直結以外の水は、必ず年に1度、水質検査を受け、衛生状態を確認しましょう。




また、こちらも参考になさってください。
厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A

 

5. まとめ

・病原大腸菌は主要なものとして腸管病原大腸菌(EPEC)、腸管侵入性大腸菌(EIEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAEC)の5つのタイプがある。

・病原大腸菌は様々な食材に付着している可能性があり、食材以外では飲用、調理用の井戸水や排せつ物の処理等により感染することもある。

・予防対策は、「食材は十分な加熱・消毒を行う」「食材を適切な温度で管理する」「二次汚染を防止する」「飲用・調理用の水に注意する」の4つのポイントが特に重要ある。


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参考

・国立感染症研究所 下痢原性大腸菌感染症とは
・東京福祉保健局 その他の下痢原性大腸菌(Escherichia coli)
・国立感染症研究所 保育所における腸管病原大腸菌O55:H7による食中毒事例―長野県
・国立感染症研究所 腸管侵入性大腸菌が原因と疑われた腸管毒素原性大腸菌O6による集団食中毒―豊橋市
・国立感染症研究所 近畿の飲食チェーン店で発生した食中毒が疑われる腸管出血性大腸菌O157事例
・国立感染症研究所 腸管侵入性大腸菌が原因と疑われた腸管毒素原性大腸菌O6による集団食中毒―豊橋市
・国立感染症研究所 腸管毒素原性大腸菌O148の大規模広域食中毒事例の概要
・国立感染研究所 中学校で発生した腸管凝集性大腸菌(EAggEC)O44:H18を原因とする食中毒事例-山梨県
・埼玉県 県政ニュース 食中毒を発生させた施設の行政処分について
・厚生労働省 浅漬の衛生管理について 漬物事業者の食中毒予防対策
・厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A

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