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サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について

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サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について

サルモネラと聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。飲食関連事業者の方々は鶏肉や鶏卵に由来する食中毒事故を連想されることかと思います。確かに鶏肉や鶏卵を使った料理が原因の食中毒事故が多く発生しており注意が必要ですが、サルモネラ属菌は鶏肉や鶏卵に限らず、私たちの身近なところに広く潜んでいるため、意外な原因で事故が発生する場合もあります。また、サルモネラ属菌による食中毒事故は他の細菌性食中毒同様、夏場に多く発生する傾向にあります。今回はこのサルモネラ属菌の特徴と食中毒予防対策について説明します。

※2020年7月2日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年8月10日に再度公開しました。

食中毒予防の三原則についてはこちら
>>食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」とはのページへ

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1. サルモネラ属菌の特徴

サルモネラ属菌は鶏やアヒルなどの家禽類や牛、豚などの家畜、猫や犬、鳥、爬虫類などペットとして飼われる動物など幅広く、様々な動物の体内に生息しています。サルモネラ属菌は高湿度下や水分活性(※)が高い状況、及び35℃~43℃の温度帯で活発に増殖します。一方で、7℃未満の条件下などの低温では発育できなくなるといわれています(死滅するわけではありません)。一般的に、乾燥した条件下には強いとされていますが、加熱には弱いことから、後述しますが、食中毒予防対策としてはまず「よく加熱する」ことが挙げられます。

※水分活性とは、微生物が利用できる水分(自由水)の割合を0~1で表したものです。1に近い(水分活性が高い)ほど自由水の割合が高く、食中毒菌を含む、細菌が増殖しやすい状態(食品)です。


電子顕微鏡写真

サルモネラ属菌の電子顕微鏡写真
出典:内閣府ホームページ (https://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/shokuchuudoku_kenbikyou.html)


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【サルモネラ食中毒の症状】

サルモネラ属菌が付着した食品を摂取すると通常8〜48 時間の潜伏期間の後に悪心や嘔吐の症状が表れ、数時間後に腹痛や下痢などの症状が表れます。サルモネラ属菌の種類(代表的な原因菌であるSalmonella Enteritidis等)によっては3~4日ほどの潜伏期間を経て発症することもあります。下痢の症状は1 日数回から十数回程度で、3〜4 日持続しますが、1 週間以上症状が続く場合もあります。症状は比較的軽く、多くの場合自然治癒により回復します。しかし、小児や高齢者の場合脱水症状により命に係わる深刻な状態になることがあります。


【サルモネラ食中毒の発生時期】

サルモネラ属菌による食中毒は過去5年間の統計データでみると8月に最も多く発生しています。サルモネラ属菌は多くの細菌同様、高湿度、高気温の条件下で活発となる為、6月から10月にかけては特に注意が必要です。

サルモネラ属菌による食中毒事故発生件数グラフ

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2018年~2022年のデータを基に作成



【サルモネラ食中毒の発生場所】

過去5年間のデータでは、サルモネラ属菌による食中毒は102件中56件と、6割弱が飲食店で発生しています。次いで事業場(13件)、仕出屋(7件)の順に多く発生しています。年間を通し、次に挙げる原因食品を取り扱う飲食店で多く発生しています。後述する食中毒予防対策のポイントを踏まえた管理が必要です。

サルモネラ属菌による食中毒発生場所割合グラフ

厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2018年~2022年のデータを基に作成



 

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【サルモネラ食中毒の原因食品等】

過去5年間の食中毒事故では、非加熱及び加熱不十分の鶏肉やその加工品・鶏肉料理、鶏卵を使ったメニュー、また、これらの食品・食材の取扱いが不適切だったことにより汚染された食品が原因とみられる事例が多くみられます。その他、ウナギ料理なども原因食品として挙げられます。
食材や食品の汚染状況の確認には食品微生物検査がおすすめです。

意外な感染原因として食事とは別に、ペットとして飼われている犬や猫、カメなどの爬虫類からの感染事例もあるようです。特にペットを飼われている飲食店の従業員の方は調理時のみでなく、ご家庭でのペットとの過ごし方にも注意が必要です。

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2. サルモネラ食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的なサルモネラ食中毒の予防方法としては、主に6つのポイントがあります。

①「十分な加熱を行う」②「食材処理用の調理器具や容器を他の食材と分ける」③「食材を取り扱った後は必ず手を洗う」④「食材処理後の調理器具、容器は洗浄と消毒を行う」⑤「食材は信頼する業者から仕入れ、適切な温度で管理する」⑥「ペットと触れ合った後は必ず手を洗う」

①「十分な加熱を行う」

サルモネラ属菌の種類によって必ずしも同一ではありませんが、中心温度75℃以上で1分間などの十分な加熱でやっつけることができます。中心温度計などを用いて食材を実際に計測するとより正確な温度管理が可能になります。確実に中心まで加熱しましょう。

加熱による殺菌がなされたかは食品微生物検査で確認しましょう!

②「汚染食材処理用の調理器具や容器を他の食材と分ける」

食材処理(下処理)には専用の調理器具、容器を準備し、使用します。肉用と魚用、野菜用等、用途別に分けましょう。使用後は確実に洗浄・消毒して(下記④)、専用の保管場所で保管する等、他の食材や調理工程で器具等を分けることで二次汚染を防ぎます。

③「食肉を取り扱った後は必ず手を洗う」

手洗いを徹底することで、他の食材や器具等、調理場所に菌が拡がることを防ぎます。

④「食肉処理後の調理器具、容器の洗浄と消毒を行う」

使い終わった調理器具、容器は放置せず速やかに洗い乾燥させるまたは熱湯による消毒を行い片づけることで、二次汚染の防止だけでなく、事故や破損などの防止にも繋がります。

調理器具や容器の洗浄・消毒の状況も拭き取り検査で確認を!
>>環境衛生検査のページへ

⑤「食材は信頼する業者から新鮮なものを仕入れ、適切な温度で管理する」

多くの生産・仕入れ業者の方々は食材の衛生管理を適切に行っていますが、過去には食材仕入れ時点で既に高く汚染されており、その食材によって食中毒が引き起こされた事例もあります。また、適切な温度で管理しなければ菌の増殖につながりかねません。食材は信頼できる業者から仕入れ、受入後は室温に放置せず、速やかに適切な保管場所で衛生的に保管しましょう。

⑥「ペットと触れ合った後は必ず手を洗う」

ペットと触れ合った後の手・指などを介して、サルモネラ属菌に感染してしまうことがあるようです。特に飲食店の方はペットと触れ合った後の手洗いを徹底しましょう。

 


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3. まとめ

・特徴:サルモネラ属菌は鶏などの家禽類や牛、豚などの家畜、猫や犬、鳥、爬虫類などペットなど幅広く様々な動物の体内に生息し、高湿度下や水分活性が高い状況(卵の割り置きなど)、及び35℃~43℃の温度帯で活発に増殖する。乾燥にも強い。

・症状:悪心や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が表れ、子供や高齢者は重篤化する場合がある。

・発生時期:過去5年間で8月に多く、高温多湿の夏場は注意が必要。

・発生場所:6割弱が飲食店で起こっている。

・原因食材:加熱不足や未加熱の鶏肉、鶏卵が原因となることが多い。

・予防方法:食材の十分な加熱による殺菌と、調理器具の使い分けや手洗い、器具の消毒による二次汚染防止、安全な仕入れと菌の増殖防止のための温度管理が重要。ペットと触れあった後の手洗いも忘れずに。


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FAQ

サルモネラ属菌の特徴は?
サルモネラ属菌は鶏やアヒルなどの家禽類や牛、豚などの家畜、猫や犬、鳥、爬虫類などペットとして飼われる動物など幅広く、様々な動物の体内に生息しています。サルモネラ属菌は高湿度下や水分活性が高い状況、及び35℃~43℃の温度帯で活発に増殖します。一方で、7℃未満の条件下などの低温では発育できなくなるといわれています(死滅するわけではありません)。一般的に、乾燥した条件下には強いとされていますが、加熱には弱いことから、食中毒予防対策としてはまず「よく加熱する」ことが挙げられます。

サルモネラ食中毒の症状は?
サルモネラ属菌が付着した食品を摂取すると通常8〜48 時間の潜伏期間の後に悪心や嘔吐の症状が表れ、数時間後に腹痛や下痢などの症状が表れます。サルモネラ属菌の種類(代表的な原因菌であるSalmonella Enteritidis等)によっては3~4日ほどの潜伏期間を経て発症することもあります。下痢の症状は1 日数回から十数回程度で、3〜4 日持続しますが、1 週間以上症状が続く場合もあります。症状は比較的軽く、多くの場合自然治癒により回復します。しかし、小児や高齢者の場合脱水症状により命に係わる深刻な状態になることがあります。

サルモネラ食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的なサルモネラ食中毒の予防方法としては、主に6つのポイントがあります。
①「十分な加熱を行う」②「食材処理用の調理器具や容器を他の食材と分ける」③「食材を取り扱った後は必ず手を洗う」④「食材処理後の調理器具、容器は洗浄と消毒を行う」⑤「食材は信頼する業者から仕入れ、適切な温度で管理する」⑥「ペットと触れ合った後は必ず手を洗う」

 

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    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・厚生労働省 4.食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・WHO Salmonella (non-typhoidal)
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/salmonella-(non-typhoidal)

・国立感染症研究所 サルモネラ感染症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/409-salmonella.html

・食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル ~鶏肉におけるサルモネラ属菌~(改訂版)
https://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/genussalmonella.pdf

・農林水産省 サルモネラ(細菌)[Salmonella Enteritidis, S. Typhimurium]
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/salmonella.html

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