夏に多く発生する食中毒事故について

今回は夏に発生している食中毒を過去5年間(2019~2023年)の厚生労働省の食中毒統計資料に基づいて、ランキング形式でご紹介します。各食中毒の原因となる菌やウイルスなどの特徴や、予防のためにはどのようなポイントに注意すればよいか等をまとめてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※2020年11月12日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年7月1日に再度公開しました。
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1. 夏に多く発生する食中毒事故
6月~8月を夏として、2019年~2023年の5年間の食中毒統計データを基に、原因別の事故件数でランキング付けしました。

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:寄生虫-アニサキス 491件
2位:細菌-カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 313件
3位:細菌-サルモネラ属菌 54件
4位:細菌-ぶどう球菌 43件
5位:ウイルス-ノロウイルス 35件
夏季は湿度と気温が上昇し、多くの細菌が増殖しやすい環境になるため、特に細菌性の食中毒に注意が必要です。
また、アジなどの赤身魚が旬を迎え、刺身で食されることも多いため、アニサキスによる食中毒が多くなる要因として考えられます。
一般に冬季に発生しやすいとされるノロウイルスですが、夏でも5位にランクインしていることから年間を通して注意が必要なことがうかがえます。
それぞれの原因物質に関する特徴、対策、関連記事等については以下の通りです。
【アニサキス】
魚介類の保管時や下処理の不備が食中毒を引き起こす原因とされます。家庭内で、お刺身などのように非加熱または十分に加熱がされない状態で提供・喫食することが、アニサキスでの食中毒事故が多い理由としてあげられます。
アニサキスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「アニサキスなどの寄生虫による食中毒事故(アニサキス、クドア、ザルコシスティス)」
アニサキスによる食中毒のリスクを見える化するには
>>食品中の寄生虫検査のページへ
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【カンピロバクター・ジェジュニ/コリ】
カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒は、少ない菌数で発症するとされており、加熱不良の食品を提供した場合には、食中毒事故につながりやすいといえます。
カンピロバクター属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について」
カンピロバクター食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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【サルモネラ属菌】
サルモネラ属菌は多くの家畜や動物の体内に生息し、乾燥に強い菌です。
特に鶏肉や鶏卵の加熱不足や生食が発症の原因となることが多いとされます。
サルモネラ属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について」
サルモネラ食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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【ぶどう球菌】
ぶどう球菌による食中毒事故の多くは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるものです。
黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくります。この毒素を食品と一緒に喫食することにより食中毒が起こります。黄色ブドウ球菌は加熱調理で十分に殺菌が可能ですが、毒素は100℃20分の加熱でも分解されませんので注意が必要です。
黄色ブドウ球菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「黄色ブドウ球菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」
黄色ブドウ球菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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【ノロウイルス】
ノロウイルスは感染力が強く、集団感染のリスクの高いウイルスです。カキなどの二枚貝の喫食による食中毒が有名ですが、不顕性感染者(感染しているが症状がないまたは軽症)から食材を二次汚染し食中毒につながることも十分に気を付けなければなりません。
ノロウイルスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ノロウイルス検便で不顕性感染者の発見が大切です。
>>ノロウイルス検便のページへ
ノロウイルスによる環境の汚染を確認するには
>>環境衛生検査のページへ
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2.食中毒予防の三原則とは
食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」
食中毒予防の三原則は、一般に細菌による食中毒(いわゆる細菌性食中毒)予防のために用いられます。
夏に多い食中毒事故の2位カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、3位サルモネラ菌、4位ぶどう球菌に有効な対策となります。
「つけない」
・しっかりと手洗いする
・使い捨て手袋を活用する
・調理器具を使い分ける 等
「ふやさない」
・食品は原材料から調理後、搬送中を通じて、できる限り低温管理する
・加熱調理後は速やかに冷却する 等
「やっつける」
・食材は中心部まで十分に加熱する
・塩素系漂白剤やアルコールで器具を洗浄・殺菌する 等
食中毒を予防するための三原則とは
>>食中毒予防の三原則とはのページへ
3. 食品の安全を確認するには
食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。
食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。
また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
>>食品微生物検査のページへ
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