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リステリア食中毒の症状や特徴、予防方法について

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リステリア食中毒の症状や特徴、予防方法について

今回は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes 以下リステリア)による食中毒についてお話しします。リステリアは動物の腸管内だけでなく、土壌や河川など自然界に広く分布しています。国内での食中毒事例は稀ですが、欧米では死者を伴う集団食中毒事故等が発生しており、特に喫食前に加熱を要しない調理済み食品(RTE食品:Ready to eat食品)でのリステリアの食中毒予防が課題となっています。一般にリステリア食中毒が重症化する例はまれですが、妊婦の方や高齢者の方は重症化することがあり、流産や胎児への悪影響、敗血症や髄膜炎を引き起こす可能性があります。今回はこのリステリア食中毒の特徴と対策をわかりやすくご紹介させていただきますので、ぜひ最後までご覧ください。

※2020年8月17日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年10月3日に再度公開しました。

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1. リステリアの特徴

リステリアは一般的な食中毒細菌と同様に通常の加熱によって死滅しますが、4℃以下の低温や、12%の食塩濃度下でも増殖できる特徴があります(最も発育しやすい温度は30℃~37℃)。

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【リステリア食中毒の症状】

食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています。リステリアに感染して重症化することはまれですが、妊婦、高齢者の方は注意が必要です。食品由来によるリステリア症は、年間住民100万人あたり0.1~10人とまれです。ただし、重症化すると致死率が高い疾患であることから、世界保健機関(WHO)においても注意喚起を行っています。妊婦、高齢者や免疫機能が低下している方(抗がん剤治療中やHIVエイズの方など)は、少量のリステリアでも発症し、敗血症や髄膜炎など重篤な状態(リステリア症)になることがあり、海外では死亡例も確認されています。 特に、妊婦が感染すると、リステリアが胎盤や胎児へ感染し、流産や生まれた新生児に影響がでることがあります。
厚生労働省 リステリアによる食中毒



【リステリア食中毒の原因食品等】

欧米では、ナチュラルチーズなどの未殺菌の牛乳から製造された乳製品、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの低温燻製された魚介類加工品、コールスローなどのサラダ等、RTE食品を原因としたリステリアによる集団食中毒が発生しています。リステリアは低温や高い塩分濃度下でも死滅せず、冷蔵庫内の温度帯でも時間はかかりますが食中毒の原因となるほどに増殖することができるため、冷蔵庫で長期間保存され、加熱せずにそのまま喫食するRTE食品が事故の原因となるのです。
食材や食品の汚染状況の確認には食品微生物検査がおすすめです。

 

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2. リステリア食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

リステリアは自然界に広く分布しているため、食品のリステリアによる汚染を防止することは難しいと考えられます。また、4℃以下の低温状態や塩分12%の状態でも増殖が可能なため食品の保存方法に注意をしなければなりません。

具体的なリステリア食中毒の予防のポイントは主に3つです。
①期限内に提供・喫食する、②保存する場合は冷凍庫またはチルド室で、③加熱できるものは提供・喫食前に十分に加熱する

 

①「期限内に提供・喫食する」

ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン等の喫食前に加熱を要しない調理済み食品(RTE食品:Ready to eat食品)を、開封して盛り付けなどして提供・喫食する場合には、その製品の期限を守りましょう。また、一度開封したものは期限に関わらず速やかに使い切りましょう。

②「保存する場合は冷凍庫またはチルド室で」

リステリアは4℃でも増殖することがありますので、冷凍またはチルド室(0~2℃)で保存しましょう。

③「加熱できるものは提供・喫食前に十分に加熱する」

リステリアは他の食中毒菌(芽胞菌を除く)と同様に加熱することによって死滅します。提供・喫食前に十分に加熱しましょう。
加熱による殺菌がなされたかは食品微生物検査で確認しましょう!

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3. リステリア食中毒が疑われた感染症事例

直近のリステリア食中毒が疑われた感染症事例

発生時期 2021年5月29日
発生場所 福岡市内
感染者数 3名
原因食材 そうざい(加熱せずに喫食可能なRTEのデリミート)

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4. まとめ

・特徴:リステリアは自然界に広く分布し、冷蔵・塩蔵耐性が高い。

・症状:高熱、頭痛、嘔吐などの症状が表れ、妊婦や高齢者は重篤化し、最悪の場合、流産や髄膜炎を引き起こす。

・原因食品:ナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモン等、喫食前に加熱を要しない調理済み食品(RTE食品:Ready to eat食品)

・対策:製品の期限を守り、開封後は速やかに使い切り、保存する場合は冷凍またはチルドで。加熱できるものは他の食中毒菌同様に、提供・喫食前に十分に加熱する。

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FAQ

リステリア・モノサイトゲネスの特徴は?
リステリア・モノサイトゲネスは一般的な食中毒細菌と同様に通常の加熱によって死滅しますが、4℃以下の低温や、12%の食塩濃度下でも増殖できる特徴があります(最も発育しやすい温度は30℃~37℃)。

リステリア食中毒の症状は?
リステリア食中毒は、38℃~39℃の発熱や頭痛、嘔吐などの症状が表れ、その他に意識障害や意識障害を引き起こすこともあります。健康な成人の場合は無症状の場合もありますが、妊婦の方をはじめ高齢者や免疫機能の低下している方は少量のリステリアでも感染し、敗血症や髄膜炎など重篤な症状を呈し、海外では死亡例もあります。特に妊婦の方の場合は発熱や悪寒、背中の痛みが表れ、胎児にリステリアが感染し、最悪の場合流産を招く胎児敗血症を患う可能性があり注意が必要です。

リステリア食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的なリステリア食中毒の予防のポイントは主に3つです。
①期限内に提供・喫食する、②保存する場合は冷凍庫またはチルド室で、③加熱できるものは提供・喫食前に十分に加熱する

 

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〒194-0013
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    • 国際規格 [ISO/IEC17025:2017] 認定取得(♯81094)
    • 国際規格 [ISO/IEC 27001:2013] 認証取得
    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・厚生労働省 リステリアによる食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html

・国立感染症研究所 リステリア・モノサイトゲネス感染症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/525-l-monocytogenes.html

・食品安全委員会 非加熱喫食調理済み食品(Ready-to-eat食品)におけるリステリア・モノサイトゲネス(平成24年1月改訂)
https://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/listeriamonocytogenes.pdf

・国立感染症研究所 イングランド、ウェールズのリステリア症、2004年-英国
https://idsc.niid.go.jp/iasr/25/297/fr2974.html

・国立医薬品食品衛生研究所 食品安全情報(微生物)No.4 / 2021(2021.02.17)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202104m.pdf

・複数の型が検出されたListeria monocytogenes集団感染事例―福岡市
https://www.niid.go.jp/niid/ja/l-monocytogenes-m/l-monocytogenes-iasrd/11432-510d05.html

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