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未加熱の野菜による食中毒事故について

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普段何気なく食べている生野菜、サラダや野菜スティク等みずみずしくておいしいですよね。6月が旬の野菜はミョウガや紫蘇、三つ葉などの薬味野菜やサラダ菜、キャベツ等生の状態で食べられるものが多々あります。加熱によるビタミンの分解などもなく、栄養面からも生野菜は優れているといえますが、実は生野菜にも食中毒の危険性があるのをご存じですか?今回はそんな生野菜による食中毒事故の事例をご紹介します。

※2020年6月17日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年7月6日に再度公開しました。


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1. 生野菜による食中毒事故の原因と事例紹介

生野菜による食中毒は事例数としては例年さほど多くはありません。しかし、過去5年間の患者数は合計して約372名になり、年間平均74名ほどが事故にあっていることになります。では、その主な発生場所や原因について事例を交えながらご紹介します。



まず、最も多い発生場所としては飲食店及び事業場であり、過去5年間でそれぞれ4件発生しています。その他、老人ホームや病院、家庭において生野菜による食中毒が数件発生しています。

続いてどのような原因で発生しているかについてですが、ノロウイルスやその他ウイルスによるウイルス性食中毒、腸管出血性大腸菌(VT産生)やサルモネラ属菌等による細菌性食中毒、自然毒に分けられます


生野菜による食中毒事故でも、ノロウイルスを原因とした事例が多く発生しています。2016年4月には職員食堂のサラダバーが原因食材と推定されるノロウイルス集団食中毒事例が発生しています。生野菜のサラダでは加熱工程がないため、原材料に付着していたノロウイルスが残存していた、もしくは他の食品でのノロウイルス食中毒でも起こっていますが、調理従事者の手指を介して、野菜のカット等の処理段階や盛り付け・提供時にノロウイルスが付着したことが考えられます。調理従事者の管理(体調管理・手洗い・使い捨て手袋の使用等)が重要です。

次に細菌性の食中毒では、2016年8月に東京都及び千葉県の老人ホームにおいて10名が死亡する腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生しています。未加熱の野菜調理品の“きゅうりのゆかり和え”が原因食品と考えられ、本事案と2017年2月のきざみのりを原因とする大規模ノロウイルス食中毒事故が、2017年6月の「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正に繋がりました。この改正により、特に高齢者及び若齢者、抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設において、加熱せずに提供する野菜や果物(ただし、表皮を除去して提供する場合は除く)の殺菌が明記されました。また、加熱せずに喫食する原材料を受け入れる際は、製造加工業者の衛生管理体制をしっかりと確認することも追加されています。これらのことを調理現場で実施することで食中毒事故の防止につながります。

自然毒については、2018年の7月に発生した事例で自生しているヨウシュヤマゴボウの葉を食べたことにより、家庭内で食中毒が発生しています。これはヨウシュヤマゴボウに含まれるサポニンという有毒物質が原因です。未加熱品に限らず、有毒植物を食用の植物と誤って食べて食中毒になる事例は毎年確認されています。食用と確実に判断できない植物は、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないよう、注意喚起されています。
こういった知識があり、信頼のできる取引先から野菜を仕入れている場合、自然毒による食中毒の可能性を低く抑えることができます。取引先の選定や継続管理も食中毒予防に重要な管理の要素のひとつです。


2. 生野菜による食中毒事故の対策

これまでは生野菜による食中毒事故の原因と、それぞれの事例を紹介しました。ではどのように対策をすればよいでしょうか。事例を振り返りながらご説明します。

ウイルスが原因の場合

前項でご紹介した2016年4月のサラダバーの事例を参考に、対策をご提示します。事例でご紹介した通り、ウイルスは調理工程の複数の段階で付着や混入する恐れがあります。ここでは下記の通り場合分けして、対策をご提示します。

1. 仕入れ時点もしくは野菜のカット等の処理の段階で野菜にウイルスが付着した場合

仮に仕入れ時点、野菜のカット時点でウイルスが付着した場合、生食であったがために食中毒につながった可能性があります。厚生労働省では、ノロウイルスは食材の中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱をすることが望ましいとしています。しかし、生野菜として食べたい、提供したい場合もあると思います。その場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒が有効です。適切な濃度(200ppm)に調整して用いることで食材の消毒が可能になります。大量調理施設衛生管理マニュアルにおいても「加熱せずに供する野菜の殺菌」や「調理機器の殺菌」での使用が記述されています。

適切な消毒が実施できているか、提供までの時間や温度は管理できているか、検査を実施して数値で把握したり、きちんと動けているかチェックしたり、新人さんの教育内容を見直してみる等して、確かめてみましょう。

2. 盛り付け・提供時にウイルスが付着した場合

盛り付け時点、提供時点でウイルスが付着してしまうとその後殺菌・消毒は行われないため、食中毒事故につながってしまう可能性が高くなります。作業前の手洗いや作業時に使い捨て手袋を使用すること、器具を洗浄殺菌することで食材への付着を防ぐことができます。

細菌が原因の場合

未加熱の野菜では次亜塩素酸ナトリウム水溶液による殺菌方法が有効です。しかし、加熱調理後と同様に、殺菌後の盛り付け時などに再び汚染してしまうリスクがあります。食材を扱う前の手洗いや使い捨て手袋の使用、器具を洗浄殺菌、汚染食材と非汚染食材を扱う作業導線が交わらない工夫が必要です。

自然毒が原因の場合

自然毒による食中毒の対策は、食材そのものに毒性の物質が含まれているため、自生している植物等を自己判断で食べないこと。また、毒性のある箇所を適切に処理(ジャガイモの芽取りなど)することです。

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3. まとめ

・未加熱の野菜による食中毒事故の原因としては大きくウイルス、細菌、自然毒が挙げられます。

・加熱工程のないサラダなどの生野菜には、適正濃度での次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒が有効です。手順やその効果、作業を行う人々の力量確保を確実に行いましょう。

・十分な手洗いや、使い捨て手袋の使用、器具の洗浄殺菌による食品への汚染防止と導線の適正化による対策が有効です。

・自然毒は安全な仕入れと、毒性のある箇所を適切に処理する管理が有効です。


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    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・厚生労働省 食中毒発生状況(2016年~2020年)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・厚生労働省 過去の食中毒事件一覧(2016年~2020年)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・東京都 報道発表資料 [2016年4月掲載]  食中毒の発生について
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/04/20q4q100.html

・厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

・厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html


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