春に多く発生する食中毒事故について
今回は春に発生している食中毒を過去5年間(2019~2023年)の厚生労働省の食中毒統計資料に基づいて、ランキング形式でご紹介します。各食中毒の原因となる菌やウイルスなどの特徴や、予防のためにはどのようなポイントに注意すればよいか等をまとめてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※2023年5月11日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年4月15日に再度公開しました。
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1. 春に多く発生する食中毒事故
3月~5月を春として、2019年~2023年の5年間の食中毒統計データを基に、原因別の事故件数でランキング付けしました。
厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:寄生虫-アニサキス 597件
2位:細菌-カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 214件
3位:ウイルス-ノロウイルス 208件
4位:自然毒-植物性自然毒 64件
5位:細菌-ウエルシュ菌 31件
このランキングを見ると、1位アニサキス、2位カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、3位ノロウイルスの順になりました。
原因物質の発生件数を見ると、春はいずれも年間を通して多く発生しているアニサキスやカンピロバクター、ノロウイルスを原因とする食中毒が発生していることが分かります。また、例年春や秋には自然毒を原因物質とする食中毒が多くみられます。
自然毒による食中毒は死亡事故につながる危険性が高いので注意が必要です。
>>秋に起こりやすい食中毒事故についてのページへ
>>死者数の多い食中毒ランキングのページへ
それぞれの原因物質に関する特徴、対策、関連記事等については以下の通りです。
【アニサキス】
魚介類の保管時や下処理の不備が食中毒を引き起こす原因とされます。家庭内で、お刺身などのように非加熱または十分に加熱がされない状態で提供・喫食することが、アニサキスでの食中毒事故が多い理由としてあげられます。
アニサキスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「アニサキス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
アニサキスによる食中毒のリスクを見える化するには
>>食品中の寄生虫検査のページへ
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【カンピロバクター・ジェジュニ/コリ】
カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒は、少ない菌数で発症するとされており、加熱不良の食品を提供した場合には、食中毒事故につながりやすいといえます。
カンピロバクター属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について」
カンピロバクター食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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【ノロウイルス】
ノロウイルスは感染力が強く、集団感染のリスクの高いウイルスです。カキなどの二枚貝の喫食による食中毒が有名ですが、不顕性感染者(感染しているが症状がないまたは軽症)から食材を二次汚染し食中毒につながることも十分に気を付けなければなりません。
ノロウイルスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ノロウイルス検便で不顕性感染者の発見が大切です。
>>ノロウイルス検便のページへ
ノロウイルスによる環境の汚染を確認するには
>>環境衛生検査のページへ
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【植物性自然毒】
植物性自然毒はキノコと高等植物に大別されます。
キノコ
ツキヨタケやクサウラベニタケ、テングタケ・イボテングタケが有名です。
食用と判断できないキノコは絶対に「採らない」「食べない」「人にあげない」が特に重要です。
東京都福祉保健局 食品衛生の窓 キノコ食中毒
高等植物
スイセンやトリカブト、ヨウシュウヤマゴボウなどが有名です。
植物の新芽、若葉や根、実など一部分を見ただけでは、有毒植物と食用植物とを見分けることが難しい場合があります。
東京都福祉保健局 食品衛生の窓 間違えやすい有毒植物
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル
【ウエルシュ菌】
ウエルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、カレーや煮込み料理等、大鍋で大量に調理し、作り置かれていた食品が原因となることが多くあります。100℃で1時間の加熱にも耐える熱に強い芽胞を作り、通常の加熱調理では死滅しないため注意が必要です。
ウエルシュ菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ウエルシュ菌食中毒の症状や特徴、予防対策について」
ウエルシュ菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
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2. 食品の安全を確認するには
食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。
食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。
また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
>>食品微生物検査のページへ
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