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テイクアウトをHACCPで考えてみよう。~飲食店編~

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新型コロナウイルス流行により、新たにテイクアウトやケータリングに取り組んだ飲食店の皆様も多いのではないでしょうか。新しいことを始める際には、いろいろ調べたり、皆で集まって検討されることも多いでしょう。
ここでは、テイクアウトを新しく始める際にいろいろやったこと・検討したことを、改めて制度化されたHACCPで考えてみたいと思います。

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1. HACCPは世界各国で採用されている

日本でも制度化されたHACCPですが、世界各国でも義務化されている=採用されている食品衛生管理の方法の一つです。
多くの国々が採用しているということは、食品の安全性を確保するために効果的・効率的な取組であることを示すだけでなく、皆で実際に動かして常にブラッシュアップされている仕組みであるということです。

新しいことを始める際はいろいろ準備が必要ですが、先達の経験を活かし、いいとこどりでHACCPを取り入れていきましょう。
 

 

2. HACCPの7原則12手順

HACCPの7原則12手順
危害要因分析のための準備段階 危害要因分析、HACCPプランの作成
手順1:HACCPチームの編成 手順6:危害要因の分析(原則1)
手順2:製品についての記述 手順7:重要管理点(CCP)の決定(原則2)
手順3:意図する用途の特定 手順8:管理基準の設定(原則3)
手順4:製造工程一覧図の作成 手順9:モニタリング方法の設定(原則4)
手順5:製造工程一覧図の現場での確認 手順10:改善措置の設定(原則5)
  手順11:検証方法の設定(原則6)
手順12:記録の保持(原則7)


HACCPとは「原材料の受入から最終製品までの各工程ごとに、微生物による汚染・金属の混入などの危害要因を分析(HA)した上で、危害の防止につながる特に重要な工程(CCP)を継続的に監視・記録する工程管理システム」です。


このように、HACCPでは、それぞれの製品(お弁当等)ごとに原材料からお客様へお届けする(喫食)までの一連の流れを一回整理して、皆で話し合うことから始まります。

 

3. テイクアウトを始める時は

テイクアウトを始める際には、メニューを考えたり、その調理工程を検討したりしたのではないでしょうか。

店内飲食とテイクアウトでは異なるリスク

2020年、テイクアウト・デリバリーを新たに始める方々向けに厚生労働省や都道府県等から、注意喚起やお知らせがさまざま発出されました。テイクアウトやデリバリーでは、調理してからお客様が召し上がるまでの時間が長くなり、さらに気温の高い日や時間帯は食中毒リスクが高まります。


これらのリスクを下げるために、テイクアウトを始めるにあたって注意しなくてはならないポイントについて活発に情報発信されているのです。

飲食店における持ち帰り・宅配食品の衛生管理等について(厚生労働省通知)
※今回はこちらのリーフレットの内容を引用しています。

その作業にあたった方は、お店の出しているメニューや厨房のことをよく知っている方だったかと思います。
ここでHACCP! 手順1:HACCPチームの編成 HACCPチームには製品(メニュー)やその製造(調理)について熟知している方が参加していることが必要です。まさに、そのような方が検討されていらっしゃったかと思います。HACCPチームにはHACCPや衛生管理に関する専門知識を持った方の参加も望ましいですが、いない場合は助言を受けたり、手引書等を参考にすることも可能です。テイクアウトを始める際にも、衛生管理のポイント(手引となるもの)や専門家のアドバイスのもと準備(検討)を行うことが重要です。

 

4. メニューを考え、お客様を考え、レシピを作り上げましょう

まず、どのようなメニューを提供するかを検討しますが(今回は飲食店でいつも作っているメニュー(原材料や調理工程は同じ)という想定でお話します)、テイクアウトに適しているかを確認します。

  • 鮮魚介類や生卵など、生ものの提供は避けましょう。
  • 水気の多いメニューは水分をとばしたり、よく煮詰める等、調理方法の変更を検討しましょう。
  • テイクアウト用の容器を選択・決定しましょう。適した素材・形状ですか?
    *浅い容器に小分けする等の痛みにくい工夫も検討しましょう。
  • 保存方法(10℃以下で保管・輸送する場合、冷蔵設備や保冷剤の準備等)・消費期限を想定し、お客様へのアナウンス方法(口頭や表示で早めの喫食を呼びかけるなど)を検討しましょう。
    *あらかじめ準備するリストに入れておけば実施漏れがありません。
  • 作り置きをするか、オーダー毎に調理するかを決めます。
    *オーダー毎に調理するとお客様が喫食するまでの時間を短くすることができます。
  • 客層を想定して、必要に応じて調理方法や保存方法を変更します(高齢者や子供が多い場合は生野菜サラダを温野菜にする等、より安全側にシフトするなどが挙げられます)。

ここでもHACCPの手順に照らしてみると・・・手順2:製品についての記述手順3:意図する用途の特定の内容(メニュー(製品)やその安全性に関わる事項と顧客(や用途)の明確化・確認)を行っています。
また、手順4:製造工程一覧図の作成の内容については、調理方法や保管方法を検討してテイクアウト用のレシピを作り上げることで行っています。ここでは、食中毒が起きないよう十分な加熱を行ったり、一連の流れで必要な温蔵・冷蔵工程も洗い出します。

  • 加熱が必要な食品は中心部まで十分に加熱しましょう。
    *レア肉や半熟卵も提供を避けましょう。
  • 調理した食品は速やかに10℃以下に冷ますか、65℃以上で保管しましょう。
    *食中毒菌は20℃~50℃の温度帯でよく増えます。調理後は小分けにして速やかに放冷するなどして、この温度帯で長時間放置しないようにします。
  • 普段から実施している一般的な衛生管理についても、レシピ上で適切か確認しましょう。例えば、上で事例に挙げているチャーシュー丼ですが、加熱済み食材を取り扱う際は手袋を着用する・調理器具は使用用途により使い分けをするなど、一連の流れで必要な衛生管理ができているか振り返り、必要な衛生管理を確実に行うようにします。
    *基本の手洗いや体調管理などのルールも改めて見直してみましょう。

これらの流れの中で 手順6:危害要因の分析手順7:重要管理点(CCP)の決定手順8:管理基準の設定手順9:モニタリング方法の設定 の基本は実施しています。手引書などを参考に、手順10:改善措置の設定手順11:検証方法の設定手順12:記録の保持 の内容を含めてHACCPレベルにもっていきましょう。

  

5. 実際の運用をイメージしましょう

HACCPの手順でも 手順5:製造工程一覧図の現場での確認 にある通り、原材料の受入からお客様へお渡しするところまで、厨房内や店舗内で確認します。

  • 冷蔵庫や調理台、シンクなど、調理や保管などに十分なスペースがありますか?
    *原材料の下処理、加熱調理、調理済み食品の加工、容器詰め、冷却など、調理の流れでそれぞれに必要なスペースが確保されていますか?
    *容器詰めは清潔な場所で行いましょう。
    *お店の規模や調理能力に見合った提供数を把握しましょう。キャパを越えた調理は「つい」を誘発して事故の元になります。
  • お客様へのアナウンス(口頭や表示で早めの喫食を呼びかけるなど)が十分できるか確認しましょう。
  • テイクアウト品が保冷剤、クーラーボックス、冷蔵庫、温蔵庫などの活用で適切な温度帯を保てるか確認しましょう。


今回は飲食店でテイクアウトやデリバリーを始めた際の取組にHACCPの考え方を当てはめて紹介してみました。
テイクアウトやデリバリーだけでなく、いつもの厨房の管理もHACCPの考え方で整理し直していただくきっかけになれば幸いです。

初出:2020年11月1日
一部修正:2023年1月20日

 

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