教えて衛生管理 ~冷蔵庫内の定置管理について~
厨房は1つ1つ違う作りになっています。
理想的な衛生管理をイメージしても、必ずしもその通りには行えないことが多々あります。
今月からは、飲食店や給食施設、スーパーのバックヤードなど、年間500施設以上を衛生点検巡回している衛生コンサルタントがお客様とコミュニケーションを取りながら改善提案を行ってきた現場での体験談や指導内容などをお伝えしていきます。
業務従事している方、衛生指導を行っている方々の参考にしていただけると幸いです。
飲食店の従業員の方との会話のやり取りを聞いてみましょう。
今回のテーマ:冷蔵庫内の定置管理について
冷蔵庫内で食品が定置管理できていない状態
この会話は、冷蔵・冷凍庫内で保管している食品間での交差汚染防止対策について話しています。
品質保持と食中毒予防のために食品を冷蔵・冷凍庫に入れて保管しますが、その際にも配置に注意が必要で、配置が誤ると食品間で汚染してしまう場合があります。
では、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?まず始めに、知ってほしい事は、食中毒菌に汚染されている恐れのある食品は何なのかです。原材料由来で元々食中毒菌が付着している恐れがある主なもの(汚染度が高い)として、生肉・生魚・生卵・泥付き野菜などが挙げられます。
汚染度の高い食材
【汚染度の高い食材に付着している可能性がある食中毒菌】
その中でもドリップが出やすい生肉・生魚の保管管理には特に注意が必要です。これらの食品は、そのまま食べられる食品、即ち、サラダや刺身、加熱調理済み品など、その後に加熱調理による『やっつける』工程がない食品(汚染度の低い)と区分けて保管していないと、食中毒菌が付着する恐れがあります。
冷蔵・冷凍設備が充実しており原材料を別に保管する容量がある施設は冷蔵・冷凍庫別で区分け、定位置での管理ができるかと思いますが、多くの飲食店では調理品が多岐にわたり、同一冷蔵・冷凍庫内に様々な種類の食品を保管される場合が多いと思います。
その際に、冷蔵庫の上段に生肉や生魚を置いてしまうとドリップが落下した際、その下に置いてある食品を汚染させてしまいます。また、隣接に置いている場合も出し入れの際や接触した際に汚染を受ける恐れがあります。
【冷蔵庫内における理想的な食品の定置管理】
従って、汚染度の高い生肉・生魚・生卵は棚の最下段で保管し、サラダ・刺身・加熱調理済み品など、そのまま食べる食品は上段に保管する、といった食品の汚染度に合わせて、置く場所を定める事が食品間の交差汚染を起こさないためには必要となります。
また、冒頭の会話のように、区分けする容量がなく詰め込まざる得ない場合は、イレギュラー対応として2重に包む等して他の食品が汚染を受けないようにしましょう。
皆様の現場では食品の配置における交差汚染ついて、指導・教育を行っていますか?このような知識や理解がないと、都合がいい・作業効率がいいといった理由で、汚染の恐れのある配置になってしまうことも考えられます。
作業のみでなく、なぜそうしなければならないのかも含めた衛生教育を従業員へ展開し、日々の管理に気を付けていきましょう。
Written by
株式会社町田予防衛生研究所
町田予防衛生研究所は、食の安全に関わる各種検査やコンサルティングなど幅広く商品・サービスを取り揃え、ワンストップで食の安全をサポートする企業です。
本社所在地
〒194-0013
東京都町田市原町田3-9-9
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