高齢者福祉施設で起こりやすい食中毒事故
今回は高齢者福祉施設が発生場所となった食中毒事故についてご紹介します。この記事では2019年~2023年の5年間を集計し、どのような細菌やウイルス等が原因となったのかをランキング形式でご紹介していきます。高齢者福祉施設には免疫機能が低下している方も入所されていることがあり、食中毒が命にかかわることもあるため十分な食中毒予防対策が必要です。ぜひ最後までご覧ください。
※2023年7月17日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2024年4月30日に再度公開しました。
食中毒予防のための基礎知識に関してはこちらがおすすめです。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ
1. 高齢者福祉施設で起こりやすい食中毒事故
厚生労働省「過去の食中毒発生状況」をもとに、施設別に過去5年間(2019-2023年)の食中毒発生状況を見てみると、事業場は5番目(事件数)に多く食中毒を引き起こしています。事業場には、高齢者福祉施設、保育所等が含まれています。今回はこのうち特に高齢者福祉施設に着目し、ランキングを作成しました。
高齢者福祉施設での食中毒事故の発生は、免疫力や体力面で重篤な症状や死亡例に繋がるリスクがあります。そのリスクに対応した食中毒予防対策が必要です。
厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2019年~2023年のデータを基に作成
2. 高齢者福祉施設での食中毒事故原因ランキング
厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2019年~2023年のデータを基に作成
1位:細菌-ウエルシュ菌 32件
2位:ウイルス-ノロウイルス 16件
3位:細菌-ぶどう球菌 8件
4位:細菌-サルモネラ属菌 6件
5位:細菌-カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 4件
事件数をランキング順に見るとウエルシュ菌による食中毒事故件数が最も多くなっています。また、2021年と2023年のサルモネラ属菌を原因とする食中毒事故で死亡者がでています。
それぞれの原因物質に関する特徴、対策、関連記事等については以下の通りです。
【ウエルシュ菌】
ウエルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、カレーや煮込み料理等、大鍋で大量に調理し、作り置かれていた食品が原因となることが多くあります。ウエルシュ菌は、100℃で1時間の加熱にも耐える熱に強い芽胞を作り、通常の加熱調理では死滅しないため注意が必要です。
ウエルシュ菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ウエルシュ菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ウエルシュ菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ
【ノロウイルス】
ノロウイルスは感染力が強く、集団感染のリスクの高いウイルスです。カキなどの二枚貝の喫食による食中毒が有名ですが、不顕性感染者(感染しているが症状がないまたは軽症)から食材を二次汚染し食中毒につながることも十分に気を付けなければなりません。
ノロウイルスの特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について」
ノロウイルス検便で不顕性感染者の発見が大切です。
>>ノロウイルス検便のページへ
ノロウイルスによる環境の汚染を確認するには
>>環境衛生検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ
【ぶどう球菌】
ぶどう球菌による食中毒事故の多くは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるものです。
黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくります。この毒素を食品と一緒に喫食することにより食中毒が起こります。黄色ブドウ球菌は加熱調理で十分に殺菌が可能ですが、毒素は100℃20分の加熱でも分解されませんので注意が必要です。
黄色ブドウ球菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「黄色ブドウ球菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」
黄色ブドウ球菌食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ
【サルモネラ属菌】
サルモネラ属菌は多くの家畜や動物の体内に生息し、乾燥に強い菌です。
特に鶏肉や鶏卵の加熱不足や生食が発症の原因となることが多いとされます。
サルモネラ属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について」
サルモネラ食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ
【カンピロバクター・ジェジュニ/コリ】
カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒は、少ない菌数で発症するとされており、加熱不良の食品を提供した場合には、食中毒事故につながりやすいといえます。
カンピロバクター属菌の特徴や予防方法は以下をご覧ください。
>>「カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について」
カンピロバクター食中毒のリスクを見える化するには
>>食品微生物検査のページへ
当社をご利用いただいているお客様の声をご紹介します。
>>お客様の声のページへ
3. 食品の安全を確認するには
食品の安全を脅かす危害は、「生物学的危害」「物理的危害」「化学的危害」の3つに分類されます。
なかでも主に微生物を原因とする「生物学的危害」は、実際に発生した飲食関連の事故のうち約9割を占めるといわれています。
目には見えない微生物を検査によって「見える化」し、その状態を把握することが、微生物のコントロールには必須です。
食品微生物検査では、食品の種類・製造工程・保存条件など、検査対象の状況とその目的に応じて、衛生指標菌検査と食中毒菌検査を組み合わせて行われます。
その結果から、食中毒予防やリスク低減につなげることが可能です。
また、専門機関で検査することで、検査結果から改善のアドバイスが受けられます。より安心して食品をお客様に提供しましょう。
>>食品微生物検査のページへ
HACCP制度化対応はお済みですか?
>>HACCP制度化対応に関するよくある質問のページへ
>>HACCP制度化対応に失敗しないためのポイントのページへ
検査等の料金やご相談はお気軽に
検査等の料金が知りたい方はこちら
検査等の料金が知りたい方はこちらからどうぞ。
ご質問やお問い合わせはこちら
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
LINE公式アカウントを友だち追加!!
町田予防衛生研究所では、食の安全に興味・関心をお持ちの方々に、有用な情報を発信しています。
食品に携わる方々が、「好きな時間に」「簡単に」「短時間で」食の安全・安心に関する知識を得るられることを目指して運営しています。
電車での移動中などのスキマ時間にご利用いただけるように、ぜひ【友だち追加】をしてください。
【町田予防衛生研究所】食品衛生ハンドブックのダウンロードページへ
こちらもオススメ
近年の食中毒原因上位>>カンピロバクター食中毒の症状や特徴、予防方法について
冬場に特に多い食中毒
>>ノロウイルス食中毒の症状や特徴、予防方法について
O157は特に有名 ベロ毒素を産生する大腸菌
>>O157等の腸管出血性大腸菌食中毒の症状や特徴、予防方法について
家禽類や家畜などの体内に生息 乾燥に強い食中毒菌
>>サルモネラ食中毒の症状や特徴、予防方法について
手指の傷や化膿創に気を付けて!
>>黄色ブドウ球菌食中毒の症状や特徴、予防方法について
海水中に存在して魚介類に付着
>>腸炎ビブリオ食中毒の症状や特徴、予防方法について
Written by
株式会社町田予防衛生研究所
町田予防衛生研究所は、食の安全に関わる各種検査やコンサルティングなど幅広く商品・サービスを取り揃え、ワンストップで食の安全をサポートする企業です。
本社所在地
〒194-0013
東京都町田市原町田3-9-9
許可等
- 厚生労働省登録検査機関(食品衛生法)
- 登録衛生検査所
- 国際規格 [ISO9001] 認証取得
- 国際規格 [ISO/IEC17025:2017] 認定取得(♯81094)
- 国際規格 [ISO/IEC 27001:2013] 認証取得
- JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社
食品衛生のお役立ち掲示物ダウンロード
現場ですぐに使える「食品衛生のお役立ち掲示物」をご用意しております。
ダウンロードして印刷すれば、すぐにご利用いただけます。
手洗いマニュアル
ノロウイルスの特徴まとめ
ノロウイルス予防4原則
食品衛生7S
食品アレルギー早わかり
衛生身だしなみマニュアル