新しいコーデックスHACCP・食品衛生の一般原則とは??
食品衛生法は2018年6月に15年ぶりの大幅改正が行われ、その改正の目玉であるHACCP制度化は2021年6月1日から完全施行となりました。
このHACCP制度化のベースは、国際的な食品規格を作成しているコーデックス委員会が作成している食品衛生の一般原則「GENERAL PRINCIPLES OF FOOD HYGIENE CAC/RCP 1-1969」ですが、こちらも17年ぶりに2020年9月、大幅に改正されています。
HACCP制度化に対応したのに、もう次!?と慌てる必要はありません。改正は、世界中で行われている食品衛生の取組=ガイドラインを実際にやってみた、トライアルアンドエラーの実績のデータをもとに、より「分かりやすく、伝わりやすく」「実践しやすく」、つまり「効率的で効果的」に食品衛生を実現するためのエッセンスを何年もかけて抽出し、まとめたものです。制度化で作り上げた衛生管理計画を運用し、見直したり、ちょっと改善してみたりする際に、この新しいガイドラインのエッセンスをちょっとずつ振りかけてみるとよいでしょう…
今回は新しいコーデックスの食品衛生の一般原則をちょっとだけ紹介します。
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1. 一般原則が明記されました
15年ぶりの改正では、さまざまな点が大きく見直されましたが、まず、HACCPが付属文書から、本体の第2章となりました。
HACCP制度化でも、HACCPの仕組みを支えるには、まず一般衛生管理がきちんと機能していることの重要性が示されてきましたが、文書体系としても2章立てとなり、その関係性が明確になりました。
イントロダクション(導入部)では、それぞれの食品事業者の方々が自分たちの作る食品に影響する、もしくはする可能性のあるハザードを適切に認識しておくこと・・・原材料や調理工程、提供方法、施設・設備、周りの環境、従業員管理などなど・・・自分たちのことをよく知っておくこと、そしてそのハザードが消費者の健康にどう影響するかを理解したうえで、適切に管理することが、重要で必要だと示されました。HACCPの考え方を取り入れた衛生管理ではさまざまな食品製造や業態に合わせた手引書がそれぞれ発行されていますが、これらも食品や業態などで考えられるハザードとその管理方法について、各々で共通するところをまとめて、この「適切な認識」と「管理」について手助けしています。
新しいコーデックスでは、第1章の適正衛生規範(GOOD HYGIEN PRACTICE;GHP)の効果的な実施により、食品安全対策として十分である場合があることも明記されています。
イントロダクション(導入部)には、一般原則が明記されました。食品衛生管理を行っていく上での基本的な、基礎となる考え方となります。
(原文や翻訳文を元にした意訳です。原文併記します)
食品の安全性および適切性は科学に基づく予防アプローチ(食品衛生の仕組み等)を用いてコントロールするべきで、GHPは汚染物質が最小限に抑えられる環境で食品が生産され、取り扱われることを保証するもの。
適切に適用されたGHPを含む一般衛生管理の仕組みは効果的なHACCPシステムの土台を提供。
食品事業者は、自分たちのつくる食品に応じて、原材料や添加物、調理(製造)工程やその環境に関連するハザードを認識しておくべき。
食品自体や食品の調理(製造)工程、潜在的な健康への悪影響要因によっては、ハザードをコントロールするのにGHPの適用で十分であり、GHPで不十分な場合にはGHPとCCPによる管理手法を組み合わせて適用すべき。
許容できるレベルの食品安全を達成するために必須な管理手段は、科学的に妥当性が確認=有効性が確認されているべき。
管理手段としてモニタリングするか、改善や検証の対象とするか、文書化するかは、食品や、その事業規模によって適用すべき。
食品衛生を支える仕組みは改修が必要か判断するために振り返り(見直し)をおこなうべき。
これは定期的に、また、食品事業に関連してハザードや管理手段に影響しうる重大な変更(調理工程、原材料、製品、設備・機器、新たな科学的知見など)があった場合には都度、実施すべき。
フードチェーン全体で食品の安全性と適切性を確保するために、食品と食品製造に関わる関係者間で適切なコミュニケーションが維持されるべき。
2. 食品衛生を支えるのは人! 食品安全文化を育てよう
こちらもイントロダクション(導入部)ですが「食品安全へのマネジメントコミットメント」に、食品安全文化、という表現が入りました。食品衛生を支える仕組みをきちんと機能させ、目的を達成し、成功するための基盤として積極的な食品安全文化の確立と維持が求められています。
積極的な食品安全文化の醸成に必要な5の要素が示されました。
(原文や翻訳文を元にした意訳です。原文併記します)
衛生管理計画を立てて、衛生管理の目的を皆で共有し、日々衛生管理や教育訓練を実施して、それらの記録を定期的に振り返って必要な改修をしていく・・・こういったことで食品安全文化は醸成されていきます。
3. 衛生管理の効果的な実施とは?
自分たちの作る食品、その調理・製造工程、使用する器具・機器、設備や周囲の環境要因、現在運用している衛生管理の仕組みやスタッフの熟練度…これらによって、それぞれの現場に適切で十分な衛生管理は異なります。
食品衛生法改正によるHACCP制度化への対応は、今までの取組や現状について、改めて振り返る機会となりました。しかし、これで完成ではありません。大きな変更は無くとも時間の経過とともにいろいろな変化は起こっています。
こういった変化に対応していくために、新しいコーデックスの「食品衛生の一般原則」を活用してみてください。
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