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野菜や果物の洗浄・殺菌を意識して食中毒予防

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夏場は細菌性の食中毒が発生しやすいシーズンです。
気温が上がり食中毒の原因となる細菌が増殖しやすいことや、暑さで体力が消耗し、抵抗力が減退することが要因です。
今回は、夏季に事故事例が散見される、生のまま食べる野菜や果物の洗浄・殺菌について取り上げます。


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1. サンチュが原因でO157の感染事故?

2018年6月を中心に関東広域で発生した腸管出血性大腸菌O157による食中毒・感染症の事案のうち、6件について同一の遺伝子型の菌が患者から検出されました。行政は、6件に共通して同一生産業者から出荷された「サンチュ」が提供されていることを挙げ、生産業者に出荷自粛と自主回収を要請しました。しかし、その生産者の従業員検便、使用水、サンチュ及びふき取り検査などからは、すべてO157は検出されませんでした。また、施設に納入されたのは、その生産者から出荷されたサンチュの4%に過ぎなかったことから、原因食材として断定はされていません。

腸管出血性大腸菌O157は大腸菌の一種です。大腸菌は、広く動物の腸管内に常在している菌であり、食品衛生上では糞便による汚染の指標として使われます。ほとんどの大腸菌はヒトに対して無害ですが、腸管出血性大腸菌O157のように病原性のある大腸菌も存在しています。

「生食用野菜の微生物実態調査」(農林水産省2018/06/14発表)によると、いずれの野菜試料からも有害微生物は検出されませんでしたが、一部の試料からは大腸菌が検出されました。
また生産ほ場から採取された土壌や、栽培に使用する水からも大腸菌が検出されており、野菜などが大腸菌に汚染される可能性を示唆しています。

加熱工程なく野菜、果物を提供する場合には、洗浄・殺菌が重要ですが、特に細菌増殖の好環境の整いやすい夏季は、一層の注意が必要です。実際に、死者を含む深刻な事故が夏季に発生しています。



2. 夏季に発生した、野菜が原因と考えられている腸管出血性大腸菌による食中毒事故例

Case1

発生時期 : 2012年8月
発生場所 : 北海道内の高齢者施設を中心に
原因施設 : 漬物製造会社
原因食品 : 白菜の浅漬け

北海道札幌市と苫小牧市の複数の高齢者施設にて、入居者7名に食中毒症状が発症、白菜の切り漬けの腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒と断定されました。8月中に道内の保健所では、食中毒症状を訴える高齢者施設の入居者の数が約100名に上り、また該当の浅漬けは、スーパーマーケットや飲食店、宿泊施設でも流通しており、最終的に169名が発症、8名が死亡する事態となりました。

原料の白菜の殺菌処理過程にて、次亜塩素酸ナトリウムが目分量で濃度管理されており、同じ消毒液を繰り返し使っていたために十分な殺菌ができていなかったとされています。
この事故をきっかけとして、「漬物の衛生規範」が改正されました。

Case2

発生時期 : 2014年 7月
発生場所 : 静岡県静岡市
原因施設 : 花火大会の露店
原因食品 : 冷やしキュウリ

花火大会会場にて露店が提供した「冷やしキュウリ」を原因食品とする腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒が発生。冷やしキュウリは会場の露店2店舗で約1000本販売されており、最終的に発症者数は510名(入院者数114名)となりました。
調査の結果、キュウリの洗浄が不十分であった可能性が高く、殺菌工程もなかったことがわかりました。調理中は、車のスライドドアを開放し、野外と同等の衛生環境下であった上に、調理従事者の手指洗浄、器具の洗浄が不十分であった可能性も示唆されました。このようないくつかの問題点がある環境下において、大量調理をした結果、一度に多くのキュウリが汚染されたと考えられています。

Case3

発生時期 : 2016年 8月
発生場所 : 千葉県市川市・東京都羽村市
原因施設 : 高齢者施設
原因食品 : キュウリのゆかり和え

千葉県市川市の老人福祉施設から、食中毒症状が管轄保健所に報告され、その翌日、東京都羽村市の老人福祉施設からも食中毒症状を呈していると管轄保健所に連絡が入りました。調査の結果、いずれも同じ給食委託業者が調理提供していた「キュウリのゆかり和え」から腸管出血性大腸菌O157が検出。最終的に千葉県及び東京都の両施設において、患者数は84名となり、死者は10名にのぼりました。
この事件は、原料であるキュウリの洗浄・殺菌が不十分であったことが原因と考えられています。調査の結果、系列の4施設が、同じ原材料用してゆかり和えを調理していましたが、洗浄・殺菌工程がそれぞれ異なり、有症者の発生状況は表1のとおりでした。
この事故をきっかけとして、「大量調理施設衛生管理マニュアル」が改正されました。

表1 系列4施設の洗浄・殺菌工程と有症者の発生状況
施設A(有症者発生 キュウリ流水洗浄 → スライス
施設B(有症者発生 キュウリ流水洗浄 → スライス
施設C(有症者なし) キュウリ流水洗浄 → 次亜塩素酸ナトリウム溶液漬け込み 流水洗浄→ スライス
施設D(有症者なし) キュウリ流水洗浄 → スライス → 沸騰水に入れ 3 ~ 5 分加熱→ 流水冷却

 

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3. 大量調理施設衛生管理マニュアル:(別添2)標準作業書

厚生労働省では、野菜と果物の洗浄・殺菌について「大量調理施設衛生管理マニュアル」にて「(別添2)標準作業書」として以下のように示しています。また大量調理施設のみならず、中小規模調理施設等においても、マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を図るよう求めています。

(別添2)標準作業書より

(原材料等の保管管理マニュアル)

1.野菜・果物注3  

①衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用禁止とする。
②各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ、-20℃以下で2週間以上保存する。(検食用)
③専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10℃前後で保存する。(冷凍野菜は-15℃以下)
④流水で3回以上水洗いする。
⑤中性洗剤で洗う。
⑥流水で十分すすぎ洗いする。
⑦必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等注4で殺菌注5した後、流水で十分すすぎ洗いする。
⑧水切りする。
⑨専用のまな板、包丁でカットする。
⑩清潔な容器に入れる。
⑪清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)、調理まで30分以上を要する場合には、10℃以下で冷蔵保存する。

注3:表面の汚れが除去され、分割・細切されずに皮付きで提供されるみかん等の果物にあっては、③から⑧までを省略して差し支えない。
注4:次亜塩素酸ナトリウム溶液(200mg/Lで5分間又は100mg/Lで10分間)又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、亜塩素酸ナトリウム溶液(生食用野菜に限る。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液。これらを使用する場合、食品衛生法で規定する「食品、添加物等の規格基準」を遵守すること。
注5:高齢者、若齢者及び抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設で、加熱せずに供する場合(表皮を除去する場合を除く。)には、殺菌を行うこと。

※注3から始まっているのは原文ママのためです。

 

 

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