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寄生虫と食中毒 - 食中毒を起こす寄生虫講座 第1回 -

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寄生虫と食中毒

食中毒とは有害な飲食物を口から摂取した結果、様々な疾病(中毒症状)を起こす事を指します。その原因にはいろいろあり、細菌やウィルスによるものがよく知られていますが、化学物質や動植物が持つ自然毒なども忘れてはいけません。
それと、あまり認識されていないようですが、寄生虫を原因とした食中毒も非常に多く、見逃してはいけないものの一つになっています。


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皆さんは、寄生虫ってどのようなものかご存じでしょうか。
昭和20年代から30年代生まれの方は、寄生虫検査として検便をされていた経験があると思います。平成生まれの方も、ギョウ虫検査のセロテープは経験ありますよね。おしりペッタンのテープです。

ぎょう虫イメージ
吹き出し右側用のアイコン


当時の検便は、主にカイチュウを検出するための検査として実施されていました。ギョウ虫検査はもちろんギョウ虫の検査です。


昭和30年代頃はまだ寄生虫が多く、国民の多くがカイチュウやギョウ虫に罹患しており、カイチュウの卵が付着した白菜漬けなどの漬け物を食べることにより、人にうつっていました。
ギョウ虫は人から人にうつるのですが、カイチュウと同じように、卵が口に入ることによってうつります。卵は小さくて肉眼では見えませんが、どちらの寄生虫も成虫になると目に見える大きさになります。
ただ、寄生虫はカイチュウやギョウ虫のように、目に見える大きさのものばかりではありません。その大きさは、100分の1ミリほどから10メートル以上になるものまで様々です。
寄生虫が人にうつる場合、昆虫を介するものや、皮膚や粘膜から侵入するものもありますが、多くの寄生虫は卵や幼虫の形で食べ物と共に口から入ってきます。
口に入った寄生虫はその後、自らが生き残るために大冒険を始めます。あるものは食道や胃などの壁に侵入し、あるものは腸にまで達し繁殖を始めます。腸の壁を破って血流に乗り、肺や脳など他の臓器に向かうものもいます。
彼ら(寄生虫)も必死ですが、うつされた人はたまったものではありません。

寄生虫が原因でおきる病気を寄生虫症と呼びますが、その症状には、強い腹痛、嘔吐、下痢、発熱の他に、皮膚の下を寄生虫が這い回る皮膚爬行症(ひふはこうしょう)や麻痺などもあり、症状が重い場合には死に至る事もあります。
症状が出るまでの期間の幅も広く、寄生虫が口に入って数分で症状が出る種類の寄生虫もいますが、数年かかる種類のものもいます。あまりこの期間(潜伏期間)が長いと、お医者さんも原因の究明に苦慮することがあります。

寄生虫がうつる食品で最も注意しなければならないのは、非加熱の食品です。すべての寄生虫は加熱されれば死んでしまいますので、新鮮な食材をよく加熱することにより、寄生虫による食中毒のほとんどを防ぐことができます。

吹き出し右側用のアイコン


ただ、日本人はお刺身が好きですよね。
筆者を含め、肉でも魚介類でも新鮮な食材を生で食べたい人は大変多いと思います。


食品をマイナス20℃で一定時間冷凍することによっても寄生虫による食中毒を防ぐことはできますが、新鮮な食材を冷凍させると風味が落ちるなどの理由から、食材の冷凍に抵抗を示す人も多く、なかなか、お刺身を原因とした寄生虫による食中毒は減らないようです。

鮮魚イメージ


野菜果物や飲料からうつる寄生虫もあります。近年では国内でこれらの食品からうつる寄生虫は少なくなっていますが、海外ではかなりの頻度で見られますので、海外旅行から帰国後に食中毒の症状を起こすことがあります。
野菜果物からうつる寄生虫は、ほとんどの場合、目に見えない小さな寄生虫や寄生虫の卵が表面に付着していることが原因なので、よく洗浄すれば防ぐことができるのですが、水の衛生管理が不十分な国では、洗浄する水自体が寄生虫に汚染されていることもあるので、難しいところですね。

食品からうつる主な寄生虫
魚介類:アニサキス類、裂頭条虫類、クドア類、肝吸虫、旋尾線虫、ウェステルマン肺吸虫、他
肉類:有鉤条虫、無鉤条虫、アジア条虫、旋毛虫、サルコシスチス、トキソプラズマ、他
野菜果物・飲料:広東住血線虫、クリプトスポリジウム、ジアルジア、サイクロスポーラ、他

 

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著者

福富先生

福富 裕之先生

株式会社 エフティービー科学 代表取締役
寄生虫研究者・異物鑑定検査員・音楽家
【主な研究内容】
消化管寄生原虫の生態と分類
Diphyllobothrium属条虫類の生態と分類
食品由来寄生虫の疫学
環境生物と寄生虫との関連
【主な所属学会】
日本寄生虫学会正会員
日本臨床寄生虫学会正会員
日本衛生動物学会正会員
日本感染症学会正会員
日本臨床検査医学会正会員
神奈川県感染症医学会正会員

 

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