加熱調理済みの食品で起こる食中毒

細菌性食中毒の最も簡単な予防法として「加熱調理」が挙げられますが、加熱調理済みの食品であっても食中毒は起こります。
その代表例の一つに、ウエルシュ菌(Clostridium welchii =Clostridium perfringens )食中毒があります。
この食中毒の主な発生場所は大量調理を取り扱うホテルや旅館、給食施設等で、1件あたりの患者数が多く集団的に発生します。
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ウエルシュ菌とは
クロストリジウム属に属する嫌気性(酸素を嫌う)菌で、同じ仲間にボツリヌス菌なども含まれます。
芽胞を形成する性質を持つため熱に強く(耐熱性)、加熱調理によって完全に死滅しないことがあります。
特に、カレー等の煮込み料理では加熱調理によって食品の中心部が嫌気状態になります。
嫌気状態になることによって増殖に適した環境となり、死滅せずに残ったウエルシュ菌が一気に食品の中で増殖します。
大量に増殖したウエルシュ菌を食品とともに摂取すると、腸の中で芽胞を形成すると同時に、下痢を起こすエンテロトキシンという毒素を産生し、それによって下痢や腹痛などの食中毒症状が引き起こされます。
*芽胞とは:熱や乾燥、薬剤などに耐性を示す殻のようなもので生育環境が悪くなると形成します。
ウエルシュ菌はヒトや動物の腸内に常在し、自然環境(たとえば土壌、下水など)にも広く分布しているため、食肉をはじめ魚介類や野菜など多くの食品が汚染されていると言えます。
ウエルシュ菌食中毒は、日本国内では年間約20~40件(平均30件程度)の報告されています。
食中毒の発生件数に対して患者数が多い⇒集団的な大規模型食中毒を起こす。
腸内に産生されたエンテロトキシンによって(生体内)毒素型食中毒を引き起こします。 元々の原因はウエルシュ菌が大量に増殖した食品を摂取することに起因します。

- 潜伏期間:6~20時間(平均 10~12時間程度)
*他の感染型食中毒と比較すると、潜伏期間が短く、発症のピークも鋭い - 主要症状:下痢 腹痛
ウエルシュ菌食中毒の原因食品には2つの特徴が認められます。
食肉調理食品(例:カレー、シチュー、チャーシュー、肉団子など)
特に食肉のウエルシュ菌汚染率は高いと言われ、食肉調理食品によるウエルシュ菌食中毒は全体の40~50%を占めるといわれています。
大量に加熱調理された後、数時間~一夜室温に放置された食品
加熱することによって、食品の中心部が嫌気状態になること、また、加熱調理によって熱に弱い菌は死滅して、熱に強いウエルシュ菌のみが生残してしまう形になることで生残したウエルシュ菌が食品の中で優位に増殖できる環境が整ってしまいます。室温に放置することによって、加熱調理食品が徐々に冷却されていき、ウエルシュ菌の発育にちょうど良い温度(増殖最適温度 43~47℃、増殖可能温度 20~50℃)になった時に急速に増殖してしまいます。
- 加熱調理食品は速やかに消費しましょう。
- 保存する場合は急速に冷却してから冷蔵庫に保存しましょう。
- 小分けするとよりすばやく冷却できます。
- 加熱調理品を喫食する直前に、十分に再加熱しましょう。
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参考文献
「新 入門食品衛生学」著)和泉喬、小田隆弘、貞包治夫、堀井正治、松岡麻男
「食中毒予防必携」監修)厚生省生活衛生局
「食品微生物学辞典」監修)日本食品微生物学会
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Written by
株式会社町田予防衛生研究所
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