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赤痢菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

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赤痢菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

赤痢菌は世界で初めて日本で志賀潔によって発見され、Shigellaと命名されました。赤痢菌による食中毒は経口感染する急性胃腸炎で、特に栄養と衛生状態の悪い開発途上国で多く発生しています。日本国内でも発展途上国からの訪日者から感染が拡がる可能性があります。また、食品や食器などから経口的に感染するため、人と人との接触が多い、保育園や学校、福祉施設、宿泊施設等では、集団感染のリスクがあります。今回は、この赤痢菌食中毒の特徴と対策をわかりやすくご紹介させていただきますので、ぜひ最後までご覧ください。

※2020年9月4日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年11月13日に再度公開しました。

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>>食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」とはのページへ

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1. 赤痢菌の特徴

赤痢菌には、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、フレキシネル菌(S.flexneri)、ボイド菌(S.boydii)、ソンネ菌(S.sonnei)の4種類あります。

赤痢菌は主にヒトやサル等の霊長類に感染し、その他の動物による保菌は知られていません。赤痢菌は通性嫌気性桿菌(酸素がない状況でも生存できる菌)で、感染力が強く、少量の菌でも感染する特徴があるため、感染者の排せつ物等により、手や食品がほんの少しでも汚染されていると周囲に感染が拡がる可能性があります。

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【赤痢菌食中毒の症状】

感染経路:赤痢菌に汚染された手指、食品、食器、飲用水等を介する経口感染

潜伏期間:1~7日(通常4日以内)

症状:赤痢菌食中毒は、発熱、腹痛、下痢、嘔吐などを伴って急激に発病します。重症例ではしぶり(肛門筋の痙れんにより排便が困難になる症状)を伴う便意を催し、膿粘血便(膿や粘液、血液を含む排せつ物)を少量ずつ排泄します。多くの場合48時間以内に病状が好転し 7~10 日で完全に回復します。

【赤痢菌食中毒の発生時期・場所等】

日本国内では2018年以降5年間で1度、2018年の10月に仕出屋で提供された食品によって赤痢菌食中毒が発生しています。
厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2018年~2022年
詳細は「3.赤痢菌食中毒の事例」でご紹介します。

【赤痢菌食中毒の原因食品等】

赤痢菌食中毒の直接的な原因となる特定の食品はありませんが、赤痢菌食中毒の直接的な原因となる特定の食品はありませんが、調理時等に直接手指が触れ、十分な加熱を行わずに提供される食品(握り寿司等)から感染することが想定されます。また、赤痢菌は衛生状態の悪い国に多く見られ、旅行中の生水、氷、生ものは特に感染リスクが高い食品と考えられます。
その他、過去には乳幼児がおもちゃ等を口に含んだことで感染した事例が報告されています。

 

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2. 赤痢菌食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

日本人の場合、海外旅行中に赤痢菌に感染することが多いといわれているため、一番の対策は海外旅行時に赤痢菌に感染しないよう注意(生水や生ものの飲食を避ける等)することですが、国内での赤痢菌食中毒事故の発生事例もあるため、日ごろから衛生的な環境を保つことも必要です。

具体的には主に4つのポイントが重要になります。

①海外渡航時は生水や生もの等非加熱の食品を口にしない、②帰国後の検便の実施、③調理、飲食前の手洗い、調理器具・食器等の消毒の徹底、④十分加熱をして、食品を提供・喫食する

①「海外渡航時は生水や生もの等非加熱の食品を口にしない」

衛生状況の不確かな国での生水や加熱が不十分な食品を口にすることで、赤痢菌食中毒に感染する可能性があるため、海外渡航時は市販の飲料水や十分に加熱されたもののみを口にしましょう。

また、渡航先の感染症の流行状況などは、下記で確認できます。
厚生労働省検疫所 FORTH

②帰国後の検便の実施

時差やハードスケジュール、環境の変化によるストレスなどで体の抵抗力が弱まり、通常なら問題にならない量の病原体で病気になることがあります。
また、赤痢菌には潜伏期間が1~7日(通常4日以内)あり、感染してもすぐには発病しない場合があります。赤痢菌は感染力が強く、少量でも被害が拡大する可能性が高いため、調理作業で手指などを介して少量の菌が食品に付着しても食中毒事故に繋がる恐れがあり、まず渡航された方が感染していないか、検便で確認することが有効です。
赤痢菌が検出された場合は、消毒や、就業制限などがありますので、症状が出ていなくても保健所へ届け出て、指示を受けてください。

③「調理前の手洗い、調理器具・食器等の消毒の徹底」

国内においても赤痢菌食中毒に感染する可能性がないわけではありません。感染者の用便後の手指から感染が拡がることがあるため、十分な手洗いと調理器具・食器等の消毒を行いましょう。また、赤痢菌は感染力が強く、わずかな菌量でも食中毒につながるため、ドアノブや手すり等人が良く手を触れる箇所の消毒も重要です。※赤痢菌にはアルコールや次亜塩素酸水による消毒が有効です。また、酸性状態や乾燥によっても死滅するため、食材のpHコントロールや調理器具や食器の洗浄後に十分な乾燥を行うことも予防につながります。

④「十分加熱をして、食品を提供・喫食する」

赤痢菌は加熱による調理が有効とされているため、十分な加熱を行いましょう。
また、食品微生物検査で確認することをおすすめします。

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3. 赤痢菌食中毒の事例

赤痢菌による食中毒事故は2018年に山梨県で確認されているので下表の通りにご紹介します。

発生場所 山梨県、飲食店
発症日 2018年10月2日~10月10日
患者数 99名
原因食材 刺身(マグロ、カンパチ、タイ、サーモン、甘エビ、イカ)、ゆば刺身、こんにゃく刺身、大根つま等のうちいずれかと推定


日本国内における赤痢菌食中毒の発生件数自体は少ないですが、赤痢菌は少量でも発症することがあり、上記事例のように大規模な集団感染を引き起こす可能性が十分にあるため注意が必要です。



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4. まとめ

・赤痢菌食中毒は、赤痢菌に汚染された手指、食品、食器、飲用水等を経口摂取することにより起こり得る。

・赤痢菌は少量摂取しただけでも感染する可能性が高い。

・赤痢菌食中毒の予防対策は、衛生状況の不確かな国外での生水や加熱が不十分な食品を口にすることは避け、調理前の手洗い、調理器具・食器等の消毒の徹底、食材の十分な加熱をすることで防ぐことが重要である。

 
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FAQ

赤痢菌の特徴は?
赤痢菌には、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、フレキシネル菌(S.flexneri)、ボイド菌(S.boydii)、ソンネ菌(S.sonnei)の4種類あります。赤痢菌は主にヒトやサル等の霊長類に感染し、その他の動物による保菌は知られていません。赤痢菌は通性嫌気性桿菌(酸素がない状況でも生存できる菌)で、感染力が強く、少量の菌でも感染する特徴があるため、感染者の排せつ物等により、手や食品がほんの少しでも汚染されていると周囲に感染が拡がる可能性があります。

赤痢菌食中毒の症状は?
赤痢菌食中毒は、発熱、腹痛、下痢、嘔吐などを伴って急激に発病します。重症例ではしぶり(肛門筋の痙れんにより排便が困難になる症状)を伴う便意を催し、膿粘血便(膿や粘液、血液を含む排せつ物)を少量ずつ排泄します。多くの場合48時間以内に病状が好転し 7~10 日で完全に回復します。

赤痢菌食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的には主に4つのポイントが重要になります。
①海外渡航時は生水や生もの等非加熱の食品を口にしない、②帰国後の検便の実施、③調理、飲食前の手洗い、調理器具・食器等の消毒の徹底、④十分加熱をして、食品を提供・喫食する

 

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    • 国際規格 [ISO/IEC 27001:2013] 認証取得
    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・厚生労働省 4.食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・国立感染症研究所 細菌性赤痢とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/406-dysentery-intro.html

・東京都福祉保健局 食品衛生の窓 赤痢菌(Shigella)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/shigella.html

・食品安全委員会 細菌性赤痢ファクトシート
https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20111108bv1&fileId=230

・山口県感染症情報センター 感染症法に基づく消毒・厳禁の手引き 細菌性赤痢
http://kanpoken.pref.yamaguchi.lg.jp/jyoho/page5/syoudoku_2.html#section4



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