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エルシニア・エンテロコリチカ食中毒の症状や特徴、予防方法について

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エルシニア・エンテロコリチカ食中毒の症状や特徴、予防方法について

エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)による食中毒は、届け出られる事件数や患者数はともに多くはありませんが、原因となるエルシニア・エンテロコリチカは低温(0~4℃)でも発育し、冷蔵庫内でも増殖して食中毒の原因となる場合があります。今回はこのエルシニア・エンテロコリチカによる食中毒についての特徴と対策をわかりやすくご紹介させていただきますので、ぜひ最後までご覧ください。

※2020年9月4日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年11月27日に再度公開しました。

食中毒予防の三原則についてはこちら
>>食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」とはのページへ

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1. エルシニア・エンテロコリチカの特徴

エルシニア・エンテロコリチカはブタ、シカ、イノシシ、ネズミなどの野生動物、また、イヌやネコなどのペットの糞、河川水などから検出されています。通性嫌気性(酸素がない状態でも発育可能な菌)の桿菌で、栄養分の少ない低温の水中で長期間生残するとされています。エルシニア・エンテロコリチカの発育至適温度は28℃付近ですが、4℃以下でも発育可能な食中毒菌です。


電子顕微鏡写真

エルシニアの電子顕微鏡写真
出典:内閣府ホームページ (https://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/shokuchuudoku_kenbikyou.html)

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【エルシニア食中毒の症状】

エルシニア食中毒は、食後2~5日で発熱、下痢、腹痛などの症状が表れます。このような胃腸炎の症状は幼児に多く、年齢が高くなるにつれて他の症状が表れることがあります。
 

【エルシニア食中毒の発生時期】

日本国内では、2018年~2022年の5年間でエルシニア・エンテロコリチカによる食中毒が10月に1件発生しています。

厚生労働省「過去の食中毒発生状況」2018年~2022年

【エルシニア食中毒の発生場所】

過去5年間で日本国内のエルシニア・エンテロコリチカによる食中毒事故は1件で、その発生場所は不明となっています。

厚生労働省「過去の食中毒事件一覧」2018年~2022年

【エルシニア食中毒の原因食品等】

日本国内で原因が明らかになっているエルシニア・エンテロコリチカによる食中毒は、過去に加工乳及びリンゴサラダによる事例が報告されています。海外では粉ミルク、加工乳等の乳製品による食中毒事例が報告されています。

エルシニア・エンテロコリチカは野生動物や家畜、河川等に分布しており、食肉(特に豚肉)等は汚染されている恐れがあります。

食材や食品の汚染状況の確認には食品微生物検査がおすすめです。

 

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2. エルシニア食中毒の予防方法

食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

エルシニア・エンテロコリチカは、低温(0℃~4℃)で増殖可能ですが、 一般的な食中毒菌(芽胞菌を除く)と同様に加熱に対する抵抗性は高くないと報告されています。

具体的な予防・対策のポイントは主に次の4つです。

①「食材は冷蔵であっても長期間の保存は避ける」、②「調理時に十分な加熱を行う」、③「二次汚染の防止」、④「井戸水等未殺菌の水の使用を避ける」

 

①「食材は冷蔵であっても長期間の保存は避ける」

冷蔵状態であっても、エルシニア・エンテロコリチカは発育が可能です。長期間の保存は避け、なるべく早く使用するか、冷凍保存しましょう。

②「調理時に十分な加熱を行う」

エルシニア・エンテロコリチカは通常の調理加熱で死滅します。食材の中心部まで十分な加熱を行いましょう。

加熱による殺菌がなされたかは食品微生物検査で確認しましょう!

③「二次汚染の防止」

特に豚肉などの食肉は汚染されている恐れがあります。調理済み食品や未加熱のまま提供する食品を汚染(二次汚染)しないよう、調理の際は作業ごとの手洗い、区分けや食材毎の調理器具の使い分け、洗浄・消毒を確実に実施しましょう。

調理器具や容器の洗浄・消毒の状況も拭き取り検査で確認を!
>>環境衛生検査のページへ

④「井戸水等未殺菌の水の使用を避ける」

エルシニア・エンテロコリチカは、栄養分の少ない低温の水中で長期間生残する特徴があります。井戸水や湧き水等の使用は避けるか、煮沸等十分に加熱してから使用しましょう。

食品衛生検査のページを開きます

 

 



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>>衛生管理レベルの高い現場の共通点のページへ

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3. 直近のエルシニア食中毒の事例

直近で発生場所が判明しているエルシニアによる食中毒事故は、2017年に発生している下表の事例となりますのでご紹介します。

発生月日 2017年9月1日
発生場所 秋田県秋田市飲食店
感染者数 7名
原因食材 当施設で調製された配達弁当

秋田県 平成29年食中毒発生状況一覧

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4. まとめ

・エルシニア・エンテロコリチカは、野生動物や家畜(特に豚の腸管内)や河川等に分布し、低温でも発育する。

・エルシニア・エンテロコリチカによる食中毒の症状は、食後2~5日で発熱、下痢、腹痛などの症状が表れる。このような胃腸炎の症状は幼児に多く、年齢が高くなるにつれて他の症状が表れることがある。

・過去5年間では、食中毒事故は1件発生(10月)している。

・過去5年間において、発生場所が明らかになっているものはなかった。

・食材は冷蔵であっても長期間の保存は避け、十分な加熱調理を行い、二次汚染の防止や未殺菌の水の使用を避けることが重要である。

 
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FAQ

エルシニア・エンテロコリチカの特徴は?

エルシニア・エンテロコリチカはブタ、シカ、イノシシ、ネズミなどの野生動物、また、イヌやネコなどのペットの糞、河川水などから検出されています。通性嫌気性(酸素がない状態でも発育可能な菌)の桿菌で、栄養分の少ない低温の水中で長期間生残するとされています。エルシニア・エンテロコリチカの発育至適温度は28℃付近ですが、4℃以下でも発育可能な食中毒菌です。


エルシニア食中毒の症状は?
エルシニア食中毒は、食後2~5日で発熱、下痢、腹痛などの症状が表れます。このような胃腸炎の症状は幼児に多く、年齢が高くなるにつれて他の症状が表れることがあります。

エルシニア食中毒の予防方法は?
食中毒予防の基礎に関してはこちらをご覧ください。
>>食中毒と食中毒予防についてのページへ

具体的な予防・対策のポイントは主に次の4つです。
①「食材は冷蔵であっても長期間の保存は避ける」、②「調理時に十分な加熱を行う」、③「二次汚染の防止」、④「井戸水等未殺菌の水の使用を避ける」

 

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    • 国際規格 [ISO/IEC17025:2017] 認定取得(♯81094)
    • 国際規格 [ISO/IEC 27001:2013] 認証取得
    • JFS監査および適合証明プログラムに基づく監査会社

 

参考

・東京都感染症情報センター エルシニアによる集団感染事例と豚肉からのエルシニア検出状況
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/epid/y2017/tbkj3805/

・食品安全委員会 ファクトシート エルシニア症
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/H21_8.pdf

・厚生労働省 4.食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

・東京都福祉保健局 食品衛生の窓 エルシニア・エンテロコリチカ
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/sonotasa01.html

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